チセヌプリ(1135.4m)チセ沼(1125m 110uと290u) 
コース 東口 神仙沼休憩所 ダム保守道路 湯本温泉
(廃道)
東口→神仙沼

 ポイント
 山頂には二等三角点袴腰1134.22mが設置されている。頂上は東側の岩の上で、昔は標識「チセヌプリ頂上」もあった。山頂には小さな2つのチセ沼がある。融雪期には一つの沼になっているのだろうか。
 東口(夏山ガイドの北口)は一番時間がかからないが、大きな岩が多く這い上がらなければならない所もある。神仙沼休憩所からは、少し遠回りになるが神仙沼や長沼が楽しめる。ダム保守道路(林道)からは取り付きとしては味気ないが、観光客と出会わない分静かな登山になる。湯本温泉からは単調な林道歩きだが、雪や雨の降った後は水浸しになる道なので注意。下山後、直ぐに温泉が楽しめた(廃道)。昔は、大湯沼から小湯沼経由の登山道があった。今でも、所々に登山道の痕跡があるが復元は夢のまた夢か。
東口コース

 アクセス
 ニセコパノラマライン(道道66号線)の峠近くに除雪車の旋回場が開放されているので駐車させていただく。 
 国土地理院地図  Google Map
=写真をクリックすると大きなサイズになります=
 7月7日<2009(H21)年 往復2.417km 登り1:21 下り57>
 除雪車の旋回場からは山頂が望まれた。ニセコパノラマラインが開通される前は、この旋回場もニトヌプリに繋がる登山道の一部だったと思う。以前の登山口は道路沿いにあるが、誰も利用しないまま放置され、看板も朽ち果ててしまっている。地べたに置かれた、哀れな鉄板の案内板は、正に登山遺跡と言った雰囲気すらある。登山口」からは平らな登山道が延びている。
山頂を望む 登山口 哀れな看板 平らな登山道
 始めは平らな登山道だったが、岩が目立つようになる。道端にはウラジロナナカマドの花が咲き、白く小さい花びらを落としていた。沢の中では大きな岩が現れるので、這い上がる。
岩が目立つ ウラジロナナカマド 沢の中の岩
 涸れ沢沿いの道から尾根に上がると、一気に展望が開け、双頭のニトヌプリの間からアンヌプリの頭が見えて来る。昆布岳は煙ってはいるが鉤鼻の山頂が見える。暫し、明るい尾根道を辿って行くと、タカネシオガマに蜂が蜜を吸いに来ていた。
アンヌプリの頭 昆布岳 明るい尾根道を タカネシオガマ
 975m付近を登って行くと小湯沼分岐の錆びた道標がある。どうひょうにはチセヌプリとニトヌプリの文字は読み取れるが、小湯沼の文字はない。これも立派な登山遺跡だと思う。この登山道は地図からも消えてしまったが、何時の日にか復活させていただきたいものだ。
 青春のノスタルジアを感じながらセンチメンタルになりかけると、アリがせっせと蜜を吸い、ゴゼンタチバナが咲く現実があった。振り返ると、アンヌプリの後に羊蹄山が見え出していた。
小湯沼分岐(廃道) アリ(大×) ゴゼンタチバナ 羊蹄山が
 眼下には銀色の小湯沼が見えて来る。古の登山者は小湯沼から延びる登山道からも来たのかと、再び、センチメンタルになる。振り返ると、ニトヌプリの尾根に岩塔が見えていた。道端にはチシマフウロが咲き、岩場になり出す。
小湯沼 ニトの岩塔 チシマフウロ 岩場に
 上を見ると、秋の雲の様な筋雲が尾根から飛び出して来るようだ。暫し、急登が続きエゾカンゾウの咲く岩場を辿って行く。
秋雲のように 急登が続く 岩場を辿る エゾカンゾウ
 道端にはエゾシモツケの丸い花も咲いていた。小湯沼を良く見ると、舗装道路のヘアピンカーブの直ぐ傍に見えていた。振り返ると、羊蹄山とイワオヌプリがアンヌプリの両端に見えていた。傾斜が緩み出すと山頂が近づいてくる。
エゾシモツケ 小湯沼 羊蹄山が 山頂直下の岩場
 まず、岩の尖った旧山頂に到着する。この頂上の岩に行く道は無いが、真っ直ぐ藪に向かって道が付いている。かなり、迷って辿っているのではないかと思う。顔の様な奇岩を横目で見ながら、左に延びる踏み後よりも登山道らしくない道を辿ると、ハイマツのトンネルに入って行く。中腰で辿らなければならないので、登山道を覆っているハイマツを切って欲しいと思う。
旧山頂へ 旧山頂(頂上) 顔の様な岩 ハイマツのトンネル
 ハイマツのトンネルを抜けると、三角点の山頂に到着する。目の前には、目国内岳や昆布岳もがあるが煙っていた。振り返るとアンヌプリの南峰越しに羊蹄山が煙っていた。
山頂 目国内岳 昆布岳 アンヌと羊蹄
 今日は、愛棒の調子が今一で、三角点の近くに座ってしまう。私が一人で、藪漕ぎしてチセ沼を見に良く。まず、手前の小さな沼に下りて、笹藪の際を歩いて一周する。途中、小さなツマトリソウの白い花が咲いていた。次に、奥の沼に行くがこの沼は一周でみないので、湖畔に佇みイワイチョウの小さな白い花を見る。
手前の小沼 ツマトリソウ 奥の小沼 イワイチョウ
 水面に映る青い空と筋雲を見ながら、風に吹かれる。
奥の小沼
 水辺には白いワタスゲが揺れていた。再び、藪漕ぎしながら三角点の山頂に帰る。昼食には時間が早過ぎるので、チセ沼を見て、記念写真を撮し、羊蹄山に向かって下山を開始する。
ワタスゲ 山頂のチセ沼 山頂標識(大×) 羊蹄山に向かって
 再び、ハイマツのトンネルを抜け旧山頂を見る。この山頂はキャンプした跡もあり、岩の隙間には、古からかなりの空き缶が捨てられている。登山者のマナーの悪さの代表として登山遺跡になるのではないかと思う。顔の様な奇岩を横目で見ながら、ニトヌプリ、イワオヌプリ、アンヌプリ、羊蹄山と重なった贅沢な景色を見ながら下って行く。最後に、除雪車旋回場を見下ろすと、ニトヌプリへの道が道路を挟んで見えていた。
旧山頂を後に 顔のような岩 ニト、アンヌ、羊蹄 除雪車旋回場

 =古の登山道考=
 古の登山道の片鱗を探そうと、小湯沼の近くを通るヘアピンカーブから下って見る。カーブの付根にはタケノコ採りの道なのか、古の道なのか分らないが踏み跡あがり、辿って行く。直ぐに、踏み跡が消えてしまうが、沢を下って見る。藪の先には小湯沼が僅かに覗いて来るが、傾斜がきつくなるので帰りを考えて引返す。
 途中、タケノコが目に付いたので採りながら登り返すが、ポケットに入れたはずのカメラが無い。慌てて、引返すとレンズが出た状態で転がっていた。やれやれと思いながら、道にでると、法面から上に踏み跡がある。分岐まで行く古の道なのだろうか。
 8月5日<1995(H7)年 登り1:00>
 霧が出て、展望が無い中、岩場を登りだす。おかげで、山頂まで時間がかからずに着いてしまう。山頂のチセ沼も霞んでいた。
登山口(大×) 山頂(大×) チセ沼と(大×)
青春の一頁
 学生時代には、ニセコパノラマライン(道道66号線)も無く、五色温泉からニトヌプリ経由で登ったと思う。しかし、数十年を経て、再び、チセヌプリの山頂に上がってみると、全く別の所に山頂標識があった。昔の頂上標識のあった所は何処だろうと、ずーっと思っていたが、ようやく見付ける。昔の頂上には、標識「チセヌプリ頂上/標高1134.5m/北海道観光連盟/日本航空/蘭越町観光協会」が設置されていた。半世紀以上前に比べると、ササに覆われ、木々が大きくなっているような気がする。
頂上 イワオ・アンヌ 現在の空き缶
 嬉しかった反面、古い空き缶が岩の隙間に積み重ねられて捨てられていたことだった。
コース 東口 神仙沼休憩所 ダム保守道路 湯本温泉
(廃道)
東口→神仙沼

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 二人の山行記録
 2009(H21)年7月7日(火) 晴れ 往復2.417km 登り1:21 下り57
 8:21除雪車旋回場→8:54錆びた道標(小湯沼分岐:廃道)→9:39頂上→9:42山頂10:0110:58除雪車旋回場
 1995(H7)年8月5日(土) 曇り、霧 登り1:00