長万部岳(972.6m) |
ポイント 日本海と太平洋に挟まれた北海道のくびれが見られる。残雪時期には沢から尾根に上がる所で迷い易い。馬の背から傾斜が急になり、左側が雪崩斜面になるので注意。 |
大峯温泉コース |
アクセス 札幌から国道5号線を走り、黒松内町を過ぎてさらに南下すると知来がある。間もなく、道標があり、二股温泉側に右折する。二股温泉まで舗装しているが、沢沿いは府県の林道のように幅が狭いところがある。退避場所を頭に入れながら徐行する。 二股温泉を左に見て、真っ直ぐ行くと、閉鎖している大峯温泉がある。すぐに舗装が切れ、砂利道となる。この砂利道を走って行くと、二股になので左に入る。送電線が出てきたら、ゲートは近い。 駐車スペースはゲートのところに6台位、送電線の下は駐車の仕方にもよるが数十台、大峯温泉前は舗装道路の路駐になる。 国土地理院地図 周辺地図 |
左:二股温泉、真っ直ぐ | 左へ | 送電線下、右に駐車 | 林道ゲート |
5月5日(残雪期) <2002(H14) 登り2:34 下り1:47> 北の山游詩:雪の足跡穴 |
二股ラジューム温泉は凄い人気だ。温泉に行き来する車と細い道で交差するのが大変だった。林道ゲートには2台停まっていたが、われわれは、下の送電線下に停めた。 林道は大きなキクサキイチゲとエゾエンゴサク、カタクリ、オオバキスミレを見ながら登って行く。キクサキイチゲは5弁のもあるのだろうか、ヒメイチゲにしては巨大だった。ここの花はみんな大きかった。ラジュームの性? |
キクサキイチゲ(左:5弁、中:普通、右:細い)(大×) | オオバキスミレ(大×) |
道端にはエゾエンゴサクも咲き、清流もあり、凄く綺麗な林道だった。始めは暗い林道も、次第に明るくなり、花が多くなると、山頂が見え隠れする。花の写真を撮っていると、男性1人に追い越される。やがて、橋が現れると登山口は近い。 |
エゾエンゴサク(大×) | 林道沿いの清流 | 林道から山頂が | 橋を渡ると登山口は近い |
橋から川を見ると、岩が赤茶化てはいるが、階段状に水が落ちていて綺麗だった。青空と柔らかな雲の下で、山頂も流れの奥に鎮座していた。 橋を渡ると「うすゆき荘」があり、その右側に登山ポストがある。このポストは中々開かないので、こじ開けた。登山口から、イラネアオイも加わって、綺麗だった。頂上も終始見えていた。 |
早瀬と山と雲 | うすゆき荘 | 登山口 | シラネアオイ(大×) |
五合目までは、大きなカタクリの咲く林道跡を号目の標識を見ながら、ジグザグを切って登って行く。五合目には、鐘があるが紐が短く、手が届かなかったので、鳴らすことはできなかった。ベンチもあり頂上が良くみえる。 |
大きなカタクリ(大×) | 二合目 | 四合目(大×) | 五合目:山と鐘 |
五合目から上は雪があり、夏道が分断され、足跡がなければ分かり難かった。夏道を探しながら、迷ったお陰で、鉱山遺跡も見ることができた。 |
雪の上を歩く | 鉱山遺跡 | 夏道を探しながら |
馬の背からはほとんど雪の上を歩いた。おまけに、冷たい風が吹き抜けていた。最後の残雪の急登を思案して、馬の背で帰っていったご夫婦もいた。 馬の背から上は急な雪の斜面だが、つま先を刺しながら登った。滑ったら下まで行きそうだった。先行している男性の風貌はどこかで、見たような気がした。そうそう、スリムで笑顔が似合うサトシンさんの様だった。他に4人組みが登っていた。 |
沢で老夫婦を追い越す | もう少しで馬の背(大×) | 頂上直下の残雪 | 滑り落ちそうな残雪 |
山頂近くなると、雪が無くなり、今にも滑り落ちそうな残雪の縁を登るところがある。山頂近くはまだ花は少なく、イチゲが辛うじて咲いている。ピークは2つあり、手前の方が高いが、ハイマツが多いので、1人ぐらいのスペースしかない。そこに、サトシンさんのような男性が陣取っていた。谷の残雪には亀裂が走っていた。山頂に着くとエゾイチゲの小さな花が咲いていた。 四人組とすれ違って、頂上に着くと、ご夫婦連れがいた。低い奥の頂上には見回すと邪魔になる程びっくりするほど大きな山頂標識があり、。その前で記念写真を撮す。 |
滑り落ちそうな残雪 | 残雪に亀裂が | 山頂に咲く(大×) | 山頂(大×) |
カニカン岳、メップ岳、狩場山、大平山、黒松内岳に囲まれた山頂からは、日本海と太平洋が見えた。遠くは駒ケ岳、羊蹄山、尻別岳、ニセコ山系、近くは美利河湖、昆布岳、写万部山、二股岳、丸山などが見えた。山頂は風もなく暖かだった。 |
カニカン岳 メップ岳 狩場山 |
頂上 日本海 尻別 黒松内 羊蹄山 |
写万部山 噴火湾 二股岳 丸山 美利河湖 |
帰りは頂上からタチグリで滑り降りる。面白かった。相棒は少し滑ったようだ。848m峰にも雪があるので登っている形跡があった。鉱山跡の近く、六合目あたりには岩から水が流れ出ているとこともあった。 |
手前のピークから | 沢を覗く | 頂上直下はタチグリで | 岩清水 |
登りでは見落としたザゼンソウ、サンカヨウを見ながら下って行く。夏山の標識もあるのに気が付いた。山頂で合ったご夫婦連れはどうやら、うすゆき荘まで車で来たらしい。林道はミズバショウの群落もあった。 |
ザゼンソウ(大×) | サンカヨウ(大×) | 夏山の標識 | 水芭蕉群落 |
6月25日 <2010(H22) 登り3:18 下り2:25 > GPSトラックは山の地図帳「2010.6.25」へ |
舗装最終の大峯温泉前に車を停めて、林道を歩き出す。林道の入り口には「長万部岳 登山口 山小屋← これより3100km 徒歩やスキーでは90分 車(夏・秋)で約20分 長万部山岳会」の看板が立っている。入口付近はイタドリが茂っていて、車で入らなくて良かったと思ったが、段々、良い道になり自転車でも十分登れそうな砂利道になる。途中、鉱山跡への林道が右に分岐すると直ぐに送電線の下を通過する。ここにも見上げる位置に「2300m 徒歩70分 車15分」の看板が立っている。送電線を過ぎると、右側にかなり広い駐車スペースがある。ゲートに着くと、車が2台停まっていた。 |
大峯温泉前 | イタドリの茂る林道 | 距離標識 | 駐車場 |
ゲートのところにある登山届に記帳して出発する。砂利道はローラーで転圧した ように凸凹がなく、快調に登って行くが、愛棒は暑さで汗だくになる。道端には高い位置に山スキー用の道標が設置され、道の両側にはタニウツギの花が咲いていた。 |
登山届(大×) | 清流 | 道標 | タニウツギ(大×) |
鉱山川に架かる橋を渡りながら真っ赤な岩の沢を覗く。橋をると突然荒れて来るが「これよりあと200m」の道標に元気をもらう。 |
鉱山川に架かる橋 | 鉱山川 | 荒れてくる | 後200mの道標 |
ようやく、うすゆき荘に到着と思ったら、うすゆき荘があった所には廃材が無造作に積まれているだけだった。うすゆき荘は、既に、崩れ去ってしまっていた。登山口にはバス停のような円い登山口の標識が立っている。登山口から荒れた道に入ると直ぐにオドリコソウが咲いていた。 |
無造作に積まれた | うすゆき荘跡 | 登山口 | オドリコソウ(大×) |
何か、無常を感じながら、引き続き道床の確りと砂利が敷かれた道を辿って行くが、最初は草が生い茂っている。それでも、夏草の中にミゾホオズキやラン科の花が咲いている。七曲がりを、登って行くと、一合目の標識が設置されていた。 |
夏草が | ミゾホオズキ(大×) | ラン科の花(大×) | 一合目 |
沢から尾根にジグを切って登って行くので、見晴らしが良くなってきて長万部岳の南尾根が見え出す。荒れた登山道を辿って行くと、山頂も見え出す。合目の標識は二合目、三合目と立て続けに出てくる。 |
尾根を | 荒れた登山道 | 南尾根が | 三合目 |
四合目も直ぐに出て来て、山頂も見え出す。間もなく、裸地の鉱山跡に到着すると、高い位置に吊るされた鐘と山頂が見えてくる。この鐘は冬山用に高い所に設置されたようで、支柱に立てかけられた梯子を登って鳴らす。鉱山跡の五合目から少し荒れ気味になり、水の無い岩清水を通過 し、残雪が所々にある枯れ沢を登って行く。 |
四合目 | 山頂が | 鉱山跡 | 五合目 |
高度が上がると噴火湾が一望されるようになる。ツバメオモトやマイズルソウもまだ咲いていた。沢の中で、分岐するところがあり左折する。引き続き、枯れ沢を登って行く。 |
噴火湾を | ツバメオモト(大×) | 沢の分岐(左へ) | 枯れ沢を |
途中、小川を渡ると、シラネアオイも咲いて来る。残雪で埋まった沢を登って行くと、途中で、愛棒が沢から登っている足跡があると言う。 よく見ると鉄パイプの支柱が横たわっている。ここから尾根状の地形に上がると七合目になるが、顔から汗の出ない私が、暑さでバテて来る。愛棒は少ないながらタケノ コがあるので、俄然元気になる。 |
小川を渡る | シラネアオイ(大×) | 残雪で埋まった沢 | 沢から尾根へ |
沢から出ると、オオバキスミレが咲き、羊蹄山も見えて来る。雪崩斜面は道が判然としないので、右往左往するが、何とか道を見付ける。雪崩斜面からは遮るものがないので、羊蹄山がすっきりと見えて来る。黒松内岳と尻別岳は重なって見える。 |
オオバキスミレ(大×) | 羊蹄山を | 雪崩斜面を | 羊蹄山を |
雪崩斜面の上からは、日本海と太平洋に挟まれた北海道のくびれが見られる。真中には羊蹄山が鎮座している。黒松内岳は目の前に、その後ろには尻別岳、羊蹄山の右側には昆布岳が見えて来る。 |
日本海 黒松内岳 羊蹄山 昆布岳 噴火湾 |
最後のジグを登りきり、ようやく山頂に辿り付く。山頂は双耳で最高地点はハイマツの中なので、山頂標識のある南側の山頂に向かう。主稜線にはアカモノ、ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、ハクサンチドリなどが咲いている。 |
最後の登り | アカモノ(大×) | ツマトリソウ(大×) | ゴゼンタチバナ(大×) |
雪崩斜面には近づけないので確認できなかったが、チングルマと思われる白い花が揺れていた。3m位低い奥の山頂へ辿って行くと、キアゲハが二匹子造りの真っ最中だった。山頂の三角点の傍で、早速、AL0.00 %の麦芽風味の炭酸飲料を飲みながら、熱った体が冷えるのを待つ。 |
チングルマの群落 | 奥の山頂へ | 奥の頂上 | キアゲハ |
山頂は座ると潅木で展望が得られないので、一息付いてから、360°の展望を楽しむ。南側から時計回りに噴火湾、アンテナ群の光る三角点二股、美利河丸山、ピリカスキー場と美利河湖が見える。 |
噴火湾 二股 美利河丸山 美利河湖 スキー場 |
カニカン岳、その奥に霞んでいる遊楽部岳、メップ岳、まだ残雪で真っ白な狩場山と続いている。 |
カニカン岳 メップ岳 狩場山 |
隣の大平山は北峰の陰になり見えないが、寿都湾の日本海、幌別岳、目の前に黒松内岳、その奥に尻別岳、右隣に羊蹄山、昆布岳、海に突き出た幌扶斯山、噴火湾、湾の向こうに霞んでいる有珠山、室蘭岳、陸地に上がって三角点二股と見回す。 |
日本海 幌別 黒松内 尻別 羊蹄 昆布岳 幌扶斯山 噴火湾 二股 |
昼食を終えて、大きな山頂標識前で記念写真を撮し、三角点を見ていたら、愛棒は既に下山体勢だった。慌てて冬山用の山頂標識を撮し、後を追う。 |
大きな山頂標識(大×) | 三角点 | 山頂へ | 冬山用の山頂標識 |
帰りに、北の山頂はへ上がって見ると、南の山頂では見えない大平山が間近に見える。 |
狩場山 大平山 日本海 |
羊蹄山を真中にした北海道のくびれが良く見える。幌別岳の奥には雷電山、黒松内岳の奥にはニセコ連峰、幌扶斯山の手前には写万部山が見えていた。 |
日本海 雷電山 ニセコ 羊蹄 昆布 写万部 噴火湾 二股 |
南側は、南峰の陰に美利河湖、スキー場、カニカン岳の奥に遊楽部岳が霞んでいる。 |
美利河丸山 南の山頂 美利河湖 遊楽部岳 カニカン岳 |
愛棒は既に、下山を開始していた。道端のハクサンチドリを見ながら、愛棒の後を追う。羊蹄山に向かって真っ直ぐ下るところもある。雪崩斜面では、迷い道に入り私は強引に藪漕ぎして登山道にでるが、愛棒は登り直す。愛棒を待っている間、藪の中にカタクリを見付ける。 |
下山開始 | ハクサンチドリ(大×) | 羊蹄山に向かって | カタクリ(大×) |
何も遮る物がない雪崩斜面から羊蹄山を眺めて、展望の無い登山道へ下って行く。途中で、サンカヨウも咲いていた。ひたすら合目の標識を探して下って行く。春先には岩の間から水が流れていた岩だらけの所を通ると、五合目に到着する。 |
羊蹄山 | サンカヨウ(大×) | 岩だらけ | 五合目 |
鉱山跡とペンキで書かれた岩は夏草に覆われていて見逃すところだった。再び、鉱山跡に着いて、斜めのベンチに座り鐘を見上げる。 再び、展望の無い登山道を下って行く。七曲の名前に違わず7回大小のジグを切ると一合目に着く。登山口にあったベンチで一休みする。今日は暑かったので、随分、休みが入ったと思いながら団扇を動かす。 |
鉱山跡のペンキ | 鐘を見上げる | 四合目 | 一合目 |
林道ではマイマイカブリやシデムシが忙しそうに横切って行く。 |
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二人の山行記録(遊びの時間含む) 2010(H22)年6月25日(金) 晴れ 登り3:18 下り2:25 8:49大峯温泉前→8:58送電線下→9:04ゲート→9:45登山口→9:54一合目→10:03二合目→10:15三合目→10:22四合目→10:27鐘広場・五合目→10:55六合目→11:13七合目→11:24沢から尾根へ→11:32八合目→11:50九合目→12:07頂上12:38→12:50九合目→13:03八合目13:23七合目→13:37六合目→13:52鐘広場・五合目→13:59四合目→14:04三合目→14:09二合目→14:14一合目→14:21登山口→14:53送電線下→15:03大峯温泉前 2002(H14)年5月5日(日) 晴れ 登り2:44 下り1:47 8:57送電線下→9:38登山口→9:53一合目→10:01二合目→10:09三合目→10:15四合目→10:22鐘広場・五合目→10:59馬の背→11:31頂上12:11→12:26馬の背→12:41六合目→12:50鐘広場・五合目→12:55四合目→13:00三合目→13:06二合目→13:15一合目→13:30登山口→13:58送電線下 |