本倶登山821m峰

 ポイント
 本倶登山に登ろうと思って、間違って登ってしまった山だが、頂上は広く、二つのコブがある。頂上は樹木が無いので展望が良い。本倶登山展望の山でもある。
本倶登橋ルート

 アクセス(メープル街道393が開通する前のこと)
 倶知安町の国道393号線を大和を目指して進む。途中で北6線のバス停を過ぎてすぐ右折する。後は、終点まで走る。春になるとゲートが開き、1.5km位奥の工事現場まで入れる。
 国土地理院地図 周辺地図
=風景写真をクリックすると大きなサイズになります=
 4月27日<2003(H15)年 スキー 登り2:39 下り1:18>
 倶知安町の大和を通りかかると、一人の男性が歩いていた。朝が早いのと田舎なので、聞く人がいないと思っていた。嬉しくなって車を止め、地図のポンクト2号川沿いにある温泉マークの位置を聞く。もう少し行ったらゲートがありその右だと教えてくれた。お礼を言って立ち去ろうとしたら、何処へ行くんだと聞いてきた。私は本倶登山だといったら、25日も60代の高齢者が7、8人本倶登山から降りてきたと言う。私も同類項なので苦笑する。
 「その連中は寒別の滝を見てこちらに降りたようだ」と言っていた。更に、「私は熊打ちで許可も下りているんだが、熊が籔に逃げ込んでなかなか仕留められない。もう農作業もしなければならないので、今年はもう止めた。ところで、あんた熊に出会ったことはあるかい」と言う。私は出会ったことは無かったが、3回見たと言った。すると、山に行っているようだから、最短コースを教えてやると言い出した。だけど沢伝いだから熊が居るかもしれないと言う。
 私は地図を広げて、教えてもらうことにした。この道を真っ直ぐ行くと工事をしている新しい国道のトンネルがある。今日は日曜日だから、工事も休みでトンネルのところまで行ける。トンネルの手前にある沢を、沢伝いに登って行くと、やせ尾根がありそこを登るとトンネルのところから1時間で着くと言う。やせ尾根の向かって左側の尾根筋は熊が居るので近づくなとアドバイスをくれた。私は再度お礼を言って分かれる。
 言われたとおり、温泉小屋を右に見て、開いているゲートを真っ直ぐ進むと、1.5km位で鎖がしてあり、奥には行けなかった。1台の車が駐車していたので、結構、人が入っているようだった。新しい道路はどうかと工事現場に入ってみるが、全くだめだった。仕方が無く、温泉小屋の道に引き返すが、温泉小屋からすぐに、雪融け特有の水浸しの道となる。この道をとぼとぼ歩く気にならなかったので、先ほどの鎖ゲートまで引き返す。
 すると、奥の道から籠をぶら下げた男性が下りて来た。この男性に、私は本倶登山に行くのだが、トンネルまでどの位かかるかと聞いたら、30分位歩いたら着くという。この男性はヤマベを釣ってきたという。この辺は熊が民家まで下りてくるので、熊の足跡があったら戻ってこようと思ったと言う。道には雪があるかと聞くと無いという。新しい道路にはあるかと聞くと、除雪する必要がないから、雪があるだろうと言う。
 私はお礼を言って、目の前にある新しい道路の法面を登る。法面はすでに雪が無かったが、道路には雪があった。真っ白い広い道路があり、羊蹄山が顔をだしていた。
北6線バス停右折 国道393ゲート 旧道鎖ゲート 新道から羊蹄山を
 振り向けばニセコ連峰も見えていた。この新しい道路を辿って行くと、いきなり道が無くなる。仕方が無く、山沿いを辿るが沢に阻まれ行けない。旧道に下ろうと思い、少し下ると全く雪のない橋を渡らなければならないので沢を上から越えることにした。適当なところで沢を越えると、また工事中の新道に出た。
新道からニセコ連峰を 広い新道が続く 阻まれた沢 再び新道に
 振り向けば、旧道の上に新道があるのがわかる。今度は、長い望堤橋を越えるとトンネルが見え出す。トンネル手前の「本倶登橋」からスキーの跡があったので、何も考えず右側の林道を辿る。ネコヤナギの芽吹きが始まった林道を登り、やせ尾根を探すことになる。林道は歩き易いので、どんどん登る。ポンクト山川の沢沿いはもう雪が無く、越えられないので左へ左へと進路をとってしまう。GPSを見ると「本倶登山」の方向に真っ直ぐ向かっている。どうも右に見える尾根がなだらかで良かったなと思いながら登って行く。川の流れにはヤチブキが顔をだしていたが、まだ花は咲いていなかった。
新道(右)と旧道(左) トンネルが現れる 右の林道へ入る ネコヤナギ
 終始、ニセコ連峰を後ろに見て登って行くと、大きな朽木があった。その奥に本倶登山らしき山が見えていた。
 やがて、目の前に急な斜面が現れ、この斜面を登ることになる。GPSを見るとこの山を登らなければ本倶登山には行けない。アイスクリームが解け出したような雪の表面で、シールを付けたスキーのエッジは効かず、ズルズルと滑り落ちる。喘ぎながら、ジグザグを切って登る。何とか上へ着いたら、羊蹄山が待っていた。
ニセコ連峰が 大きな朽木が 急な傾斜を登る 羊蹄山を望む
 尾根を辿って行くと、本倶登山はオラウータンに、赤井川村の三角山は本当に三角形をしていて、大きな目と口があるように見えた。羊蹄山とニセコ連峰に暫し見入る。
本倶登山 睨みが利いた三角山 羊蹄山を望む ニセコ連峰を
 更に奥へ行ってみると、今度は目の前に登れそうな965m峰が現れた。本倶登山だったら登ってしまおうと思ったが、GPSは無情にも更に右奥の山を指す。目の前の山はどうやら違うようだ。良く見ると、頂上は這い松が立っているようにも見え、籔も濃そうにも見えた。本倶登山に行くにはこの山を越えて、一旦コルに下がり登らなければならない。もう一つ気になっていたのが、本倶登山の向かって左側の尾根は熊がいると言われていたことだった。それを思い出し足が止まった。
 今日はもう、ここまでと思い、えらくだだっ広い頂上の高みを探しながら引返す。今日は、間違って登ってしまったので、運がない。深追いせず、奥のピークへ戻って羊蹄山と本倶登山を見ながら、1本のソーセージをほお張り、ノンアルコールのビールを飲む。
965m峰 本倶登山 奥のPから前のPを 奥のPから羊蹄山
 どうも食事する気がしなかったので、羊蹄山とニセコ連峰を見て、本倶登山の再訪を誓って、早々に退散する。
                     ←大
羊蹄山            ニセコの山々          821m峰
                               ←大
965m峰 本倶登山    登る筈だった痩せ尾根
 急傾斜はシールを付けたま下ることした。横になってズルズルと滑り、ストックでスキーを止めながら下る。一度、滑ってしまったら下まで滑り落ちるので緊張する。急傾斜が過ぎるとちょっと平らになり、大きな切り立った岩も現れる。登ってきたときに出会った大きな朽木も出てきて安心する。後は、平らな林道を下るので、シールを取り滑り降りる。初心者のスキーには丁度良い傾斜だった。
 林道の入り口に着いて、やれやれと思う。今度は本倶登橋の手前の尾根から登ってみようと思いながら本倶登山を振り返りながら帰途に着く。新道は傾斜が緩く滑っているような感じがしなかった。しかし、この道路をスキーで滑り降りられるのは、最初で最後だろうと思いながら滑って行く。最後の新道は雪の無い法面を下るのがいやで、旧道沿いに下る。鎖のゲートのところには2台が駐車していた。どうやら山菜採りのようだ。
大きな岩 本倶登橋の尾根 望堤橋からニセコを 本倶登山を振り返る

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 山行記録
 2003(H15)年4月27日(日) 晴れ スキー 登り2:39 下り1:18
 7:49鎖ゲート→8:38本倶登橋→10:28P821m10:54→11:39本倶登橋→12:12鎖ゲート