66 岩


長峯へ登ると朝里岳の岩搭群をまじかに見ることができます。それぞれに名前が付いているようですが、私にはわかりません。そのかわり、岩が色々なものに見えて楽しかったです。    

岩は周囲の冷気を吸い尽くす
それでいて雪とは相容れず
雪を被るのを拒む
それは灼熱の太陽とも
友達だからだろうか

大岩は冷たく近づくものを見据える
見る人の視線を跳ね返すかのように
しかし それも長くは続かず
あちら こちらから 顔を出す
堪えきれずに 顔をだす

外人のおじさんが 笑って
岩の中から顔をだす
気だるそうに
首を垂れ寝そべっている犬も
その上に鰐が丸い目をギョロつかせ
ハートの岩も現れた

しかし 一つの岩だけ違っていた
何時までたっても出てこない
それは 全く判然としない
いくら目を凝らしても見えない
その岩は鏡のように
邪悪な私の心を映えているからなのか


2001年4月1日 長峯にて
 

   「岩」反歌

触れるのも尻込みする
夏の日向の岩
反対に 日陰に入って
冷たい岩肌に抱きついて休む

雪よりも冷たい 冬の岩
しかし 日が当たれば
やはり身をすり寄せて
暖かさを求めたくなる

岩は太陽とツーカーの仲らしい
だって 元は同じ生まれだから
重い原子だけになった地球の岩に
絶えずコールを送り続ける
軽い太陽の無限

山屋さんの安立尚雅氏が    反歌を送ってくれました。

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