56 くもりガラス窓


藻岩山を小林峠からスキーで歩いて登ったときのことです。深雪をラッセルすること2時間、ようやく、T分岐まで着き、札幌の市街地を見ながら昼食をとりました。
札幌の市街地は子供の頃に見たゴジラが北海道に上陸するシーンのように、小雪で被われていました。    

小雪の被った札幌の街
曇りガラスの窓から見ているような
かすれた札幌の街
藻岩のT分岐にはこんな札幌がある

木々は大声を出し 手を振る
だれにともなく狂ったように
木々は涙を出して泣いているのか
木々の間から凍った涙が
小雪となり 二人の頬を濡らす

太陽も曇りガラスの中から
出ようとはしない
かすれた太陽が
泣き叫ぶ木々を
そっと見守っている

札幌の街はいつまでも
かすれたままで
小雪を被っている
二人だけの
曇りガラスの窓から
スキー板のベンチに座りながら
見ているようだ


2001年1月28日 藻岩山にて

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