55 桃色の林


山の中をスキーで歩いていると、突然、夕日がさしてきて、桃色の林が雪の上に現れました。本当に、幻想的な林の影でした。あまりに幻想的なので自分の存在感が希薄に思えました。

真っ白な新雪を行く
妻と二人で 久しぶりのスキーだ
シールを付けて登る
もったいないくらいの新雪
もったいないくらいの澄んだ空気が続く

見上げると
白い雲 白い雲 
その狭間に青い空が
太陽はその白い雲と青い空を渡る
色を変え 光を変えて

夕日の色とその淡い光が
突然 桃色の林を描く
綺麗な 綺麗な 桃色の林が
白銀に浮き上がる
その林は我々の回りに 足元にも
林が上にも下にもある

自分はどこにあるのだろう
自分の影は木と同じ色の影だろうか
ふと消え去るような気がして
振り返り 妻を見る
そこには 笑っている妻がいた


2001年1月21日 三菱山にて    


山メール仲間の花が恐ろしく好きな山下夫妻からバックカントリー用のスキーを借用し、早速、山へ行くことができました。

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