3 山とワイン


ワインが合う山はそうないだろうと思っている
われら二人のアソビホロケール登山隊の
行く山ではなおさらだ
赤ワインの飲み頃を考えれば 夏の大雪山か
庶民のワインとしては5〜15℃位が美味さがわかる
若ければ若いほど冷たい方が良いだろう

ワインは開けてから どんどん味を変える
粗末に扱えば 粗野な味 アーブル カピトーだ
大事に扱えば 一口毎に味をかえ
数種類の味を楽しませてくれる
モエール ブルーテ フローラルなどになる

まるで 一羽の鳥が数羽の鳥の鳴き声を
聞かせてくれるかの様だ
心地よい 味と響きが舌を通して
神経に伝わるだろう
ワインは生き物だと良く言われる由縁だ

したがって コルクを抜いたが最後
持ち歩く訳にはいかない
持ち歩くと ただのアルコールになってしまう
それを飲んだ人はただの酔っぱらいと化す

それをさせないためには どこか落ち着いた
人の少ない場所が欲しい
飲むには二日は必要だ
一日目は穴を掘って大地とワインを
一体化させてやりたい
二日目にそっと掘り起こして飲みたい

きっと 大地の体温を知ることになるだろう
できれば ベンチがあるにこしたことはない
ワイングラスは二つは必要だ
心地よいガラスの響きもワインの味だ

たまに 体の中でフランスを感じるのも良いだろう
どこのワインが山に合うかは知らない


2000年5月19日 自宅にて

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