34 湿原の秋の日


南暑寒別岳の途中にある有名な雨竜沼湿原は金色になっていました。風は時に強く吹き枯れ野を波たたせ、蛇行する小川や沼の水面までも波立たせていました。その様は竜の身体や動きのように見えました。        

秋の日の湿原は
枯れ原という
金色のマントをまとい
冬の到来を待ち構え
沼は山々の紅葉を浮かべる

秋の日の湿原の風は
荒々しく
水面や金色の枯れ草に
風の形を残し去って行く
旅立つ雲の遥か彼方へ

秋の湿原の風は
時に 水の中にひっそりと眠る
水竜の眠りを覚ます
蛇行する小川のさざ波の音で

目覚めた水竜は
鱗を小川の水面に現し
獲物をとらえるように風を追い
金色の枯れ原を駆け回り
爪痕を残す

ゆっくり ゆっくり 冬は来ている


2000年10月1日  南暑寒別岳にて

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