2 戦場の見える山々

昨年、9月23日に浦臼山から隈根尻山まで縦走した時に、稲わらを焼く光景を見ました。まさに、戦いの跡のようでした。

ある澄み渡った秋の日に
その清清しい秋の日に
ペケレカントにレタナリスが
美しく映える秋の日に

黄金色した稲穂の中を
モペツの石狩川がノエノエと
その美しい曲線を
描いて流れてくれているはずだったのに

馬蹄形した河跡湖が
青空に浮かんだ
白い雲を取り込んで
さらに白く見せてくれるはずだったのに

大地が血で染まっている
あちらこちらから
うめき声が聞こえるようだ

ああ 来るのが 来るのが
すこし遅かったようだ
あちら こちらから火の手が上がる
煙が追い討ちをかける

たまらず モシリカラカムイは
雷雨の一撃を与える
もう フレハンカプエや
パスクルはいない


2000年5月11日 自宅にて    

アイヌ語小教室(山本多助さんより)
ペケレカント:青空
ラタナリス:白い雲
モベツ:静かな流れの川
ノエノエ:曲がりくねる川
モシリカラカムイ:国造りの神
フレハンカプエ:赤とんぼ
パスクル:里鳥

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