208 鹿の雪棚
乳牛内に登ったとこのことです。こんなに鹿が生息している山は初めてでした。笹の葉を食べるために鹿が辿った跡が、掘れていて、まるで雪の棚のようでした。

鹿の住む山は
まだ 冬だと言うのに
笹の葉は尽き果て
食べられる木の皮も無い

それでも 鹿は生きようと
共に鳴きあい
雪の斜面に起き上がる
笹を求めて飛び回る

雪の斜面のその跡に
春の陽射しが注がれて
掘れて 地面が覗いてる
まだまだ 春の糧はない

残った所は 雪の棚のよう
飛び越えることの出来ない
老鹿は 糧が得られず
命が尽きる

己の体は
キツネやカラスにあげるのか
自然の定めが待っている


2010年3月2日 乳牛内にて



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