207 泊り雪
小舎上山に登った時のことです。暖かくなったので、あちらこちらで幹に積もっていた雪が音を立てて落ちていました。白い雪面にはたくさんの雪まくりが転がっていました。

吹雪の日々が
うそのように晴れ上がるとき
青空には 春風が混ざり
早春の雲が迎えに来る

泊り雪は 別れに身を震わせ
大きな音を立てて
雪面を転がり落ちる
雪まくり 雪まくり

幹に残っている泊り雪は
別れを惜しんで涙を流す
己の身を 涙に変えながら
小さく 小さく 嗚咽する

流れる涙は 大地に
泊り雪は 白い雲となり
大空へと旅立つ日々は近い

時は刻むことを止めない
旅立ちの日は何時か来る


2010年2月25日 小舎上山にて

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