193 涙の輝き

 樽前山に登った時のことです。下山途中に雨に降られました。時折、日が射すのですが、濡れた岩が輝いていました。

紅葉(もみじ)に染まる秋の日に
短い北国の秋の日に
秋との別れがやってくる
秋は風の音を残して去って行く

紅葉に染まることの無い
荒涼とした ガレ ザレは
冷たい雨に濡るるばかり
紅葉の色は纏えない

人にも憂いがあるように
山にも憂いがあるのだろう
人は憂いを消すために
衣服の色を変えられる
ガレは好みの色を変えられない

荒涼としたガレ ザレは
幾つもの涙を流して
黒い肌を深く刻むばかり

日は優しく雲間から
黒いばかりの岩肌に
幾く筋も 流れる涙を
光の輝きに替えてやる


2007年10月10日 樽前山にて

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