194 のいちご

 長峰に登った時のことです。下山途中に真っ赤に熟したのいちごを採って遊びました。

登山道の石の陰から
真っ赤なのいちごが顔を出す
陽の光を受けて 真っ赤になった
小さな 小粒の のいちごだ

小さな のいちごを 摘みとると
指の先は 真っ赤に染まり
甘酸っぱい匂いが
野原を包む

それを見て 蝶は笑う
一番美味しい 花の蜜は
とっくに 吸いました
ひらひら ひらと 飛び回る

甘酸っぱい匂のする のいちごを
口に近づけると
陽の温もりが感じられ
真っ赤な太陽の分身に 想われる
口の中は のいちごの 野原になる
真っ赤な 真っ赤な のいちごだ


2008年7月6日 長峰にて



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