180 水氷花

奥手稲山に登ったときのことです。夕日の沢(奥手稲の沢川)の流れの中に、花の様な氷が浮いていました。それは透明で、真ん中に白い雪がちょこんと載っていました。まるで、ガラス細工の花のようでした。    

夕日の沢の流れは
途切れ途切れに
白雪の下から顔を出し
水氷花を咲かせる

白い雪にすっかり
白さを吸い取られた
黒い流れの水面に咲く
一輪の花 水氷花 透明な花

透明な花弁を揺らせて
流れる 流れに 咲いている
時折 流れる気泡が
花弁の下で丸くなり
花弁を揺らし 流れ去る

源頭の山小屋から
初心な青春の欠片が
流れ 流れきれずに
咲く花 それは水氷花

可憐な花 壊れそうな花
思いは それぞれにして
咲く花 水氷花


2005年1月15日 奥手稲山にて
夕日の沢の源頭部には、北海道大学ワンダーフォーゲルの山小屋「奥手稲山の家」があり、青春が埋まったところのようです。色々な思い出が流れているのではと思います。

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