161 白いバッタ

大黒山に登ったときのことです。山の木々は綿毛が付いたように、真っ白に輝いていました。その綿毛に日が差すと、白いバッタが生まれたのです。
樹氷は日差しが強くなり、暖かくなると、木々に付いていることができないようですね。

真っ白な樹氷は
綿毛のように
木々を包んでいる

それは 夜の寒さに
木々を守るかのように
すっぽりと 包んでいるようだ

綿毛のような樹氷は
朝日でキラキラと光り
青空を柔らかい輪郭で
細切れに 切り刻む

日が差し始めると
役目を終えたと思うのか
命が吹き込まれたかのように
白いバッタと化す

白いバッタたちは
ボタボタと音を立て
一斉に 雪面に飛び降り
そして雪原へ消え去る


2003年3月30日大黒山にて

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