119 スノーモビル

大沼山に登った時のことです。スノーモビルがエンジン音を響かせて走っていました。山スキーヤーにはスノーモビルは嫌われものです。うるさいく、油臭く、何といっても新雪をズタズタにしてしまうからです。

青い空の下
硬雪となった春の山に
エンジン音が木霊する

無意根山の山腹に
線を引いたり
ループを描いたり
クローラの跡が
爪跡のように山腹をえぐる

春の日差しは
その爪跡を癒すかのように
雪をやさしく解かす

熊笹は立ち上がり
風にそよぎながら
スノーモビルの行く手を塞ぎ
春だ 春だと言っている


2002年4月13日 大沼山にて


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