110 過去と現在

吹上に登ったときのことです。私の古里小樽が眼下に広がっていました。良く見ると、小樽港からフェリーが出て行くところでした。頂上では札幌も見ることが出来ました。

小樽港からフェリーが滑り出す
手前に白防灯台
海に突き出た赤防灯台
フェリーが防波堤の間を通るとき
防波堤に串刺しとなり
一瞬 船が止まったような
錯覚に襲われる

港の外に出ると
象のような雄叫びを残し
どんどんスピードを上げ
高島岬を回り
どんどん小さくなる船影
残像という航跡を残しながら

そんな光景を見ながら
吹上を登る時
時折 もう温かくなりかけた
北風が通り過ぎる
吹上と石倉山のコル近く

頂上は突然現れ
小樽と札幌を
パノラマで見渡すことを許す
古里と寓居を
一度に見渡せる幸せ
過去と現在が交差するが
未来はどこだ


2002年2月16日 吹上にて


山の詩もくじへ  次ゴーグルの涙ヘ  北の山遊詩へ