102 一樹の吹雪

定山渓ダム前500mコブに登ったときのことです。登って行くと、今朝降った雪が木々の幹に積もっていました。その雪がなにかの拍子に音を立てて再び降ってくるのです。

青空のなお遠く
極寒の銀河から来た
星々の冷たき汗の結晶
それは白雪

暗い夜に
あまりにも激しく降ったのか
雪は木の幹であることを知らず
地上だと思って
安住の地としたのか
吐息を立ててうたた寝か
キューッ キュ グッー

日が登り 小鳥の声で
うたた寝から目覚め 驚いて
地上に向かって降りて行く
また 粉雪となって

それは一樹の吹雪
樹皮と雪の擦過の音
サワサワサワ ザー
小鳥は驚き 音にならない
羽音を立て 飛び去ると
山林の中に
また 静寂が戻る


2001年12月9日 定山渓ダム前500mコブにて


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