烏帽子岳(1109.4m)神威岳(983m) 

 ポイント
 古い地図には滝の沢・貂の沢からと百松沢からの登山道が載っているが廃道で、唯一、神威岳経由で登山道が付いている。
 神威岳と烏帽子岳の間の道は細尾根でアップダウンがある。以前は、刈り分け道だったが、2020(R2))年10月18日にSTST(札幌登山道整備隊)により整備が完了した。
百松沢林道コース

 アクセス
 定山渓手前の小金湯を過ぎると一の沢橋があり、この橋を過ぎ直ぐに中央分離帯の切れ目から一の沢橋へと引き返すと、左側に入る道がある(百松橋は閉鎖中)。中に入ると道路跡なのか、十数台位駐車できるスペースがある。
国土地理院地図 周辺地図

 6月3日<2006(H18)年 往復距離15.762km 登り3:37 下り3:23>
駐車場所⇒3:37⇒烏帽子岳⇒1:05神威岳⇒2:18駐車場所 GPSトラックは山の地図帖「2006.6.3」へ
=写真をクリックすると大きなサイズになります=
 豊平川にかかる百松橋を渡ると、右側に百松沢小屋があり、登山届のポストがある。記帳を済ませて、右に営林署の建物を見て奥へ進むと、左に駐車場がある(現在は百松橋は通行止め)
 出発しようと思っていると、一人の男性が到着し準備を始めた。その男性に何処まで行くのか聞いてみたら、足が向けば烏帽子岳まで行くという。私も烏帽子岳まで行くので心強い。ドラツグミの変な鳴き声を聞きながら林道歩を歩き始めると、間もなく砥山ダムに差しかかる。水面の綺麗なダムの奥に、三角形の焼山が見える。途中の沢も中々綺麗な流れで、プールの様になっている流れのところもあり、誰かが下りて遊んでいる跡もある。
 林道を15分位進むと、左に神威岳の標識が現れる。その標識に従って短絡路(林道をワープ)するに入る。この短絡路は15分位でもとの林道に出る。短絡路の出口には立派な看板が設置されていた。そこを左に曲がり、20分位で林道が川に突き当たる。この川の左側に、登山口がある。この辺りが以前と比べると、すっかり変わったような気がする。
短絡路入口 短絡路出口 林道から神威岳を 林道が川に(登山口)
 登山道は崩れて、渡渉して、対岸に渡りロープを伝って登るところもある。地図の727から派生する尾根と沢を交互に数回越えながら、進んで行くと、シラネアオイやヤシオツツジが咲き登山道らしくなる。1時間位経過すると展望台に出るが、展望は特に無くただの少し広い場所だ。ここを過ぎると神威岳の独特の山頂が見え隠れする。15分位で巌望台に着くが、その前に倒木跡の空間から烏帽子岳が巌望台からよりも綺麗に見えるようになった。巌望台から頂上を見上げると、初めての時には崖の様に見え本当に頂上に行けるか不安になったことを思い出す。
 巌望台を過ぎると、左側からさっぽろ湖からの道が合流するはずだが、今は跡形もない。神威岳の山頂直下の急登には白い花にピンクの筋が入ったエンレイソウが咲いて、元気を分けてくれているようだ。一息入れてて振り返ると、札幌岳が見えていた。
倒木跡から烏帽子岳を 巌望台から烏帽子岳を エンレイソウ 札幌岳を望む
 紫色のタチツボスミレや黄色のミヤマキンバイも顔を出すので、一息入れると今度は定山渓天狗岳と真っ白な無意根山、烏帽子岳の岩壁が見えて来る。やがてロープの垂れた湿った岩場が見えてきて、この岩場をよじ登りると烏帽子岳の分岐になる。この岩場の下に木挽沢からの沢登りの人が登ってくるのか、わらじが吊してあったのを見たことがある。
 分岐から登山道の様に整備された道を下ると、岩の間から切れ落ちた崖が覗ける。危険なのでロープが張られている。道は直ぐに倒木に塞がれ、最初のイメージと違う荒れ気味の登山道となる。最初は尾根から離れるところもあるが、基本的には尾根道なので少し安心するが、地図では想像できない小さなコブを一つ越えなければならない。それでも、尾根道なので展望が開ける所も有り、真っ白な無意根山や独特の形をした神威岳が見える所もある。烏帽子岳が近づいて来ると、烏帽子岳を見上げる位に高さを感じる。
ミヤマキンバイ 定山渓天狗と無意根山 湿った鎖場 烏帽子岳を仰ぎ見る
 藪道から突然、岩場に踊り出ると、一気に展望が開けてくる。展望台付近で軽く抜いて行った男性がもう下りてくる。軽く挨拶を交し、立ち話をしてすれ違う。左に真っ白な無意根山、その奥に羊蹄山が頭を出し、右には隣の百松沢山が見える。百松沢山の方向に旧道を探すが痕跡も無いようだ。最後に、長い山頂の端に辿り着き、改めて神威岳を見ると、迫力のある形が一段と迫力のある様子に見えて来る。
 札幌岳から空沼岳も良く見え、その奥に恵庭岳、風不死岳、札幌岳の右にはホロホロ山や徳瞬瞥山その奥にオロフレ山が見える。
 長い山頂の所々に残る雪を定山渓天狗岳に向って踏みしめて行くと、山頂に辿り着いた。三角点の周囲は刈られていて雪も無く、展望も良かった。三角点からは眼下に広がるさっぽろ湖、無意根山、羊蹄山が見えたが、定山渓天狗岳は隣なのだが木が邪魔してすっきり見えない。
岩場から無意根山を 岩場から百松沢山を 山頂の端から神威岳 山頂の端から無意根・羊蹄
 残雪の上を下って行くと、真っ白な余市岳と白井岳が見えるが、相変わらず隣の定山渓天狗岳は木立越しにしか見えない。雪が残る頂上に戻り電話を取り出すと、愛棒から電話とメールが来ていた。電話をしてみると、今日の行事は中止となったので、ゆっくり下りてきても良いと言う。やれやれと思って、残雪にシートを広げ座り無意根山を見ながらココアを飲む。
 先ほどに男性は何処でくつろいだのかと、見渡すが痕跡が見当らない。タッチアンドゴーということだろうかと再び辺りを見回すと、輪ゴムの代わりに食品の袋を閉じる小さなプラスチックが落ちていた。消費期限は5月27日で1週間前だから雪の上には無いのではと思いながら、ゴミとして回収する。
 烏帽子岳の山頂は残雪がるときが最高で、消えれば藪山になるのではと思いながら山頂を後にする。岩場にさしかかり、改めて無意根山を見るとと烏帽子岳の岩壁が直立しているようで、冬には崖に見えそうだとつくづく思う。岩場に目を向けると白いハタザオが咲いていた。この岩場は浮石が多いので、下に人がいるときには十分気を付ける必要がありそうだ。
山頂から余市岳と白井岳 山頂から無意根・羊蹄 岩場から無意根山を イワハタザオ
 途中で百松沢山方向に目を向けると萌黄色の木々の中に直立し削られた様な大きな岩が見えていた。
 ようやく、神威岳の山頂に着き、何時もの木の根に腰掛け、何気なく谷側を見ると地割れがあることを発見する。何故か腹が空いていたので、バナナを1本食べる。
 真っ赤な大きめのダニがうろつき、ブヨがうるさいので立ち上がり、辺りを見渡すと、隣の百松沢山や手稲山は良く見えるが、無意根山や余市岳がすっきり見えず、羊蹄山が無意根山の陰になり見えないことに気が付く。
 帰りは、シラネアオイの咲く登山道を下るが、林道歩きが長いのには閉口する。
萌黄と直立した岩 札幌連山と市街 手稲山 シラネアオイ
 10月20日<2020(R2)年 往復距離18.101km 登り4:07 下り2:56>
駐車場所⇒3:08神威岳⇒59⇒烏帽子岳⇒2:56駐車場所 GPSトラックは山の地図帳「2020.10.20」へ
=写真をクリックすると大きなサイズになります=
 一の沢橋の袂にある駐車スペースから国道沿いを歩いて百松橋に向かう。百松橋の入口にはチエーンがしてあるが、事業関係者は入っているようなので、入口には駐車出来ない。橋の上から紅葉した豊平川をに見来ているご夫婦もいた。橋を渡りきると、百松沢小屋があり、登山届に記入する。どうやら、一番乗りのようだ。出発しようと思ったら、「神威岳山頂/まで約6.5km」の距離標識がある。反対側には、「神威沢林道/3,394m」の看板があり、豊平川沿いに延びるこの林道は結構荒れていた。百松沢林道を辿って行くと、直ぐに解放されたゲートがある。
百松橋 百松沢小屋 距離標識 ゲート
 砥山ダムの名無しのダム湖を眺めながら歩いて行くと、橋があり、その奥には崖があり、その下に落石が堆積していた。再び、橋があり、岩清水状態に水が流れ落ちてきていた。
岩清水
 「←神威岳」の看板から林道を離れて短絡路入る。直ぐに、のある小沢を渡る。短絡路には看板「熊出没、糞あり/足跡注意!鈴、/笛・携帯の事。」がある。再び、林道に出る。出た所には、「神威岳」の古い看板が地べたに、真新しい「百松沢分岐/林道終点まで約1km」の看板がある。
短絡路入口 のある小沢 注意喚起 林道へ
 百松沢林道は百松沢川の支流沿いに延びていて、時折、紅葉の中に流れの音も交じって来る。大きく方向を変えて沢へと下りて行くところがあるが、沢にはコルゲート管が流され、道路が決壊した沢のようだ。沢を越えると、神威岳の頭が見えて来る。直ぐに、林道とは思えない「林道終点」の看板を見る。以前は、ここから対岸に林道が延びていたが、今はその跡形もない。川越しに見ると、道路があるように見えていた。
紅葉 小沢 神威岳の頭が 林道終点
 道は狭くなり、小沢を渡って行く。再び、神威岳の頭が見え隠れしだす。再び、沢に下りると、対岸は鎖場になる。道沿いの木立に巻かれた樹名板「カエデ科/ハウチワカエデ/(メイゲツカエデ)」を見ると、傾斜が増して来る。途中の倒木の切り口には「STST/2019.7.28」の文字が記されている。これを見ると、一年以上も登山道の整備をして来たようだ。
小沢 神威岳 鎖場を振り返る 活動記録
 急登の最後になる鎖場をクリアすると、平らな尾根になり神威岳が間近に見えて来る。木立には「見晴台」と看板があった。ここから、神威岳と対面しながら登って行く。間近に見えるのでもうすぐだと勘違いする所だ。
鎖場 見晴台 神威岳
 神威岳を眺めながら尾根伝いに行くが、登山道が、尾根の南側になり、見えなくなる。再び、尾根筋に戻ると神威岳が見えて来る。紅葉した斜面の神威岳は奇麗に見える。以前あった木挽沢からの登山道の痕跡がないか探しながら登って行くと、望岳台に着いてしまう。ここからは、一段と神威岳が間近に見える。
神威岳 望岳台 神威岳
 望岳台を過ぎると、山頂が見えなくなり、急登が始まる。再び、山頂が見え出し、最後の鎖場になる。クリアすると分岐の標識がある。混まないうちに神威岳の山頂に寄ることにする。山頂標識の後ろには烏帽子が見えていた。
神威岳 鎖場 分岐 神威岳山頂
 山頂の東側には、百松沢山、札幌市街、藻岩山が見えた。
                     ←大
百松沢山   札幌市街          藻岩山
 南側には藤野三山、盤ノ沢山、札幌岳が見えていた。
                     ←大
藤野三山 盤ノ沢山 札幌岳
 山頂で、ジャムパンを食べて一息つけて、烏帽子岳へ向かおうとしたら、定山渓天狗岳と余市岳が見えていた。分岐には、「この先細尾根になります、/向かって左側にそって、/注意して登ってください。/往復直線距離約2,800m/帰り登り返しがありますと威力と/相談して登ってください。」の看板があった。下って行くと、岩の割れ目があり谷底が丸見えだった。烏帽子岳を眺めながら下って行く。
定山渓天狗岳 注意喚起 割れ目 烏帽子岳
 鎖場を下って行き、平らになると百松沢山が見え出す。再び、急傾斜を登って行くと、神威岳が見え出す。暫し、ササの中を登って行くと、男性が下山して来ていた。登山届に先行者が居なかったので不意を突かれ驚く。
鎖場 百松沢山 神威岳 急登
 百松沢川の旧道分岐辺りになると、岩場が現れる。岩場の高山植物はすっかり紅葉になっていた。岩場には目印は無いが、横に上がって行く感じで登って行く。岩場から振り返ると神威岳がすっきりと見え、遠くに藻岩山と市街地が見えていた。ここで、愛棒から電話が入る。余りに遅いので心配しているようだった。主稜線に上がると、ササの平らな回廊になり、暫し辿ると山頂に辿り着く。
岩場 神威岳 藻岩山 烏帽子岳山頂
 山頂には三角点と御料局境界点があった。御料局境界点は、木立が邪魔だが、標石からは「御料/三角」「三角」の文字が読み取れた。土に埋もれた部分を掘り起こすと、「御料局/三角点」「三角点」の文字が見えるのではと思う。山頂標識の後ろには神威岳が見えていた。長居は無用と、山頂を後にする。主稜線から何とか北側を見たいと思うが、ササの丈が高いのですっきりとは見えないが石狩湾を望むことが出来た。
三角点 御料局境界点 神威岳と標識 石狩湾を
 主稜線の端からは、札幌市街地、、藻岩山、砥石山、藤野三山、神威岳、紋別岳、イチャンコッペ山、樽前山、空沼岳、漁岳、札幌岳と見えていた。
                     ←大
砥石山 藤野三山 神威岳 紋別 イチャン 樽前 空沼 漁 札幌
 下って行くと、ご一行さんに出っくわす。コル近くで、男性に、登り返しでも男性に出会う。神威岳の分岐に下山の道標を見て下って行く。鎖場に下りると、二人の女性と外国の男性が登るところだったので、待機する。女性は素手だったので、ロープで手が痛いと言っていた。男性は、教師らしいが外国人特有の軽装で、短パンだった。
 やれやれと思って下って行くと、急傾斜の所で、若い男女が次から次へと登って来る。その都度、首に巻いたバンタナを口にずり上げて待機する。誰一人としてコロナウイルス対策をしていないので、私の姿が奇異に感じたことだろう。最後に、女子会と思われるご一行さんが登って来た。
 林道に出て、そのまま林道を辿ろうかと思ったが、林道が荒れていそうなので止めて、短絡路を辿って行く。再び、林道に出て、アンパンを食べながら引き返す。一つで足りず、クルミパンも食べてしまう。名無しの権兵衛の砥山ダムのダム湖や豊平川の紅葉を眺めて終わる。
道標 砥山ダム 豊平川下流 豊平川上流
 百松橋に着いたら、入口に1台、駐車スペースにマイクロバスと車7台が停まっていた。土日祝日はどうなっているのかと心配になる。改めて、STST(札幌登山道整備隊)に感謝しながら、車を走らせる。秋の楽しい一日をありがとうございます!

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 山行記録
 2020(R2)年10月20日(火) 晴れ 往復18.101km 登り4:07 下り2:56

 6:46駐車場→6:51百松橋→6:55百松沢小屋→6:59ゲート→7:12橋→7:13橋→7:16短絡路入口(神威岳看板)→7:20矢印→7:27熊注意→7:35短絡路出口(林道へ、百松沢分岐、神威岳看板)→7:52渡渉→7:56林道終点(登山口)→7:58渡渉→8:16渡渉→9:03見晴台→9:20巌望台→9:48鎖場→9:51烏帽子岳分岐→10:44岩場→9:54神威岳10:03→10:05烏帽子岳分岐→10:06注意看板往復2,800m(ワレ目)→10:09鎖場→11:02烏帽子岳11:06→11:52神威岳分岐(下山看板)→12:18巌望台→12:21見晴台→13:13短絡路13:30→13:50ゲート→14:02駐車場
 2006(H18)年6月3日(土) 晴れ 往復15.752km 登り3:37 下り3:23 
 5:37ゲート→5:51短絡路6:06→6:25登山口→7:33巌望台→8:04神威分岐→9:14烏帽子岳9:35→10:36神威分岐→10:40神威岳10:50→11:06巌望台→12:33短絡路12:49→13:08ゲート