美瑛岳(2052.2m)

 ポイント
 主稜線には高山植物が多いので、花時期にまた行ってみたい。途中の函状の沢は別世界のように感じる。帰りの雲ノ平の登り返しは堪えた。
雲ノ平コース

 アクセス
 上富良野市街から吹上上富良野線(道道291号線)を走り、十勝岳温泉の手前から十勝岳温泉美瑛線(道道966号線)を走り、十勝岳望岳台を目指す。望岳台には広い駐車場がある。
 国土地理院地図 GPSトラックは山の地図帖「2010.9.8」へ Google Map
=風景写真をクリックすると大きなサイズになります=
 8月12日<1999(H11)年 登り3:58 下り2:52>
 望岳台に着いたら、隣の若いライダーが、美瑛岳を登るルートを教えて欲しいと美瑛富士はあすこだと指を差して教えてやった。ポンピナイ沢までは早かったが沢でばてていた。雲の平は十勝岳の裾野をひたすらくだり気味にトラバースするが、途中の高山植物が多いのには驚いた。特に、イワヒゲとツガザクラが多い。
 ポンピ沢の手前の函はまだ残雪があり、天然の冷蔵庫といった感じでした。ポンピ沢からの登りは結構きつい登りになる。途中で、かなり登り慣れた女性に会う。我々がバテているのを見抜いて、山で汲んだ水を取り出し頭にかけろと言うが、どんな所の水がわからなかったので、手にかけただけにして、別れた。
 美瑛富士分岐から頂上がまじかに見えるが1時間以上もかかった。
 頂上に着いたら霧で隣の美瑛富士、十勝岳も見えなくなった。美瑛岳の火口はすごい迫力がある。昼食を食べて帰ろうかと思ったら、先ほどのバイクの若者が登って来た。カメラのシャッタを押して欲しいというので、押してやった。美瑛富士はどこかというので、霧のかかった方を教えてしまった。
菓子パンだけしか食べていないので、バナナを1本差し入れして、頂上を後にした。
 帰りに雨で流された高山植物の塊を3株位根が付くような場所に移した。
頂上 十勝岳をバックに 火口
 高山植物の塊は、まだまだあったがとっても処理できる量では無かった。途中で何やら臭いのする黄金色が、ようやく、あの関西ボーイの遅れた原因がわかった。それにしても、大胆に、道端とはとあきれる。
 帰り道で、中富良野にさしかかったときに、初めて体験する集中豪雨と雷に見舞われた。停電で信号もついていなかった。道端に止まる車もいたが、突っ切ることにした。途中、タマネギが水浸しになっていた。島の下の交差点付近は増水して、タマネギが浮いていた。
 9月8日<2010(H2)年 往復13.622km 登り3:54 下り3:35>北の山游詩:水玉の涙
 レストハウス前の駐車場は、平日の朝だが、3割位が埋まっていた。以前は、レストハウスに登山届があったように記憶していたが、平日は休業しているようで鍵がかかっていた。登山届ポストを探すと、看板の所に入山届のボックスがあった。まだ、早い時間帯だったので、観光客ではなく、工事関係者と登って行く。望岳台と書かれたケルンや「大正大爆発丸谷温泉遭難者慰霊碑」も現れる。ここは温泉旅館があった所で、この上にある三角点が「温泉」と名付けられている意味がわかった。
レストハウス 登山届ポスト 望岳台の石碑を 慰霊碑
 道端には、秋を思わせるようにエゾオヤマリンドウが咲いていた。間もなく、白金荘分岐の赤い道標が現れる。ここを辿れば九条武子の歌碑に行ける。引き続き、十勝岳と同じ登山道を登って行くと、十勝岳の分岐になる。分岐の道標には距離標識があり「十勝岳3.2km 望岳台2.0km」の表示がある。奥には、駄目押しで美瑛岳の赤い矢印が設置されていた。
エゾオヤマリンドウ 白銀荘分岐 十勝岳分岐 美瑛岳へ
 直ぐに硫黄沢川があり、綺麗な滑床を渡って行く。尾根筋になると、十勝岳の避難小屋が見えて来る。工事関係者は避難小屋に集結しているようだった。後ろを振返ると、望岳台は遥か下に見えていた。登山道はザレ場状になり歩き難くなる。
硫黄沢川を 避難小屋を 望岳台を ザレ場を
 今度は、ハイマツの中へと入って行くが、直ぐに岩場に変身する。ハイマツが低くなり、高山植物帯になると、雲ノ平になる。熊さんもリラックス出来るのか大きな糞が一盛りあった。一応、熊さんが居ないか360°ぐるっと見渡す。
ハイマツの中へ 岩場を 雲ノ平に 熊の糞
 熊さんが居ないので安心して、美瑛の平野を眺め、道端の赤く実ったコケモモ(フレップ)の実や、狂い咲きしたコケモモの花を見る。登山道は、雲ノ平で角度が変り、山腹越しに白金温泉が見えて来る。
美瑛の平野を コケモモ コケモモの花 白金温泉を
 平らなイメージのある雲ノ平を登って行くと、イワギキョウやコガネギクの咲いている谷が現れる。この上は丁度、北向火口のある斜面で、高山植物の露が黒光りしているが、春にはお花なのだろうと思う。
雲ノ平を イワギキョウ コガネギク 黒光りの露
 何時の間にか、登山道が下りになるとポンピ沢が見えて来る。沢の赤く見える裸地の所から山側に登山道が延びていて、その下には白い勝瑛の滝が望める。残念ながら美瑛岳は雲の中だが、晴れていたら逆に圧倒され、登るのが不安になりそうなので、見えなくて良かったと勝手に思う。十勝岳の裾野を下って行くと、今まで見えなかった函状の沢が現れる。以前、8月の始めに来たときには残雪があり、湯気を上げていたが、今回は見当たらなかった。斜面にはロープが垂れていて、ロープを頼りに下って行く。
勝瑛の滝を 美瑛岳を 十勝岳の裾野を 函状の沢
 函の中に下りると異次元の世界のようで、上流と下流を見比べる。対岸にもロープが垂れていて、急な斜面を攀じ登る。函を通過してやれやれと思いながら下って行くと美瑛岳が全容を現す。
函の上流 函の下流 函を通過 美瑛岳を
 美瑛岳が見えて喜んでいたら、足元に再び熊さんの糞が一盛りあり、辺りを見回す。糞の中には未消化な実が混ざっていた。ポンピ沢に水を飲みに現れるのだろうかと思いながら、沢に下って行くと赤い標識が待っていた。ポンピ沢の渡渉しやすい飛び石を探し、靴を脱がないで渡れた。帰りも増水していないことを祈りながら、川沿いに下り気味に辿ると、山に向かって真っ直ぐな急登が待っていた。
熊の糞 ポンピ沢の標識 ポンピ沢 急登が
 登山道には、梯子や岩場が現れるので、四輪駆動で攀じ登る。ようやく尾根に上がると、雨合羽スタイルの男性が下りて来た。すかさず、愛棒が山頂まで行って来たのか聞いたが、風が強いのと寒いので途中で引き返したと言う。また、軽装のご夫婦が下りて来たが、同様に、途中で止めたと言う。
 この話しを聞いて、テンションが低くなり、行ける所まで行こうと言いながら登って行く。美瑛富士の分岐から主稜線を登って行くと、なるほど、強風が冷たく体に当たって来る。堪らず、愛棒は雨合羽を着込む。
梯子を 岩場を 美瑛富士分岐 高山植物帯を
 私も、霧で体が濡れ出したので、雨合羽を着込む。霧の中の岩場を強風に吹かれ揺れながら登って行く。途中、晴れ間が出て主稜線の奇岩が覗く。山頂も見えるようで見えない状態が続く。
岩場を 強風に吹かれ 主稜線の奇岩 山頂が
 以前、見た山頂の形に似た岩が見えて来たり、右側の崖に奇岩が見えてくるが、山頂には着きそうで着かない。愛棒が寒くなったと言うので、大きな岩の陰で雨合羽の下も履きながら待っていると言うので、私一人で山頂を目指す。早く登って、直ぐに帰ってこいと言われても、思うようにペースが上がらない。
山頂の岩を 崖の奇岩 着きそうで 待合場所
 南方系の愛棒は暑さに強く、北方系の私は寒さに強いんだと思いながら登って行くと、3人連れのご一行さんが下って来た。すれ違いながら挨拶を交わすと、何故か元気が出てきた。頂上の岩が出てきて、一気に元気が出る。以前、来た時にはそれなりに晴れ間があったのにと思いながら山頂に立つ。頂上の標柱は裂けてしまっていた、熊にでもへし折られたのだろうかと思いながら、晴れ間を探す。
 すると、十勝岳方向から男性が上がってきて、山頂を素通りしかけるので、声をかけシャッターを押してもらう。男性は山頂だと気が付かなかったと言うくらい霧が濃かった。足元の三角点を見て、男性にお礼を言って、直ぐに下る。
頂上が 頂上 記念写真 三角点
 最後に、頂上の崖を覗いて下って行くと、忠犬八公のようにこちらを向いて立っていた。ようやく、合流して下って行くと、先ほどに男性が追い越して行く。
 美瑛富士の分岐に着いて、分岐の傍の岩に腰を下ろして昼食とする。突然、霧が晴れてアバレ川の上流に当たる岩場が見えて来る。
 美瑛富士の方向から鈴の音がして、男性が一人降りて来た。美瑛富士も、強風で寒かったと言いながら、分岐の石に座り昼食をしていた。
頂上の崖 頂上を後に 合流 アバレ川の上部
 一息付いて、尾根から沢へと下って行くと、函状の枯れ沢の全景が良く見えて来る。下って行く斜面の岩壁越しに平野も覗いて来た。一瞬、霧が晴れスリバチ火口のあると思われる山影から枯れ沢が下っているのが良く見えていた。先行する男性の1人はポンピ沢を渡り、もう一人の男性は雲ノ平に消えかかっていた。
尾根から沢へ 函状の沢を 岩壁 函状の沢を
 われわれは、頭上の岩壁を見上げながら下って行くき、ようやくポンピ沢に辿り着く。ポンピ沢は増水も無く穏やかに迎えてくれた。ポンピ沢を渡り、函へと向う。道端にはクロマメノキの黒い実がなっていた。
岩壁 ポンピ沢 函へ クロマメノキ
 チングルマの綿毛は霧ですっかり重たくなったのか揺れずに頭を垂れていた。振返ると、下って来た急な登山道が見えていた。頭の上には一瞬青空が広がり、スリバチ火口のある尾根を仰ぎ見る。お蔭で、愛棒は熊さんの糞を蹴飛ばしてしまう。お花畑には、狂い咲きのイワブクロが咲いていてびっくりする。
チングルマ 登山道を スリバチ火口の イワブクロ
 真っ赤な地層と岩がサンドイッチになった断面を見ながら函の降り口に向う。
           ←大
地層が剥き出しになった函状の沢
 函への道は二条になっているが、上の道は春先の道なのだろうか。再び、函の中に下り下流と上流を見比べる。函を越えるとしばらく登りになり、汗をかき出したので雨合羽を脱ぐ。
函の手前 中から下流を 中から上流を 函を後に
 振返ると美瑛岳が覗きだすが全容を見ることができなかった。コガネギクやシラタマを見ながら富良野岳の外れにある旭岳を見ながら雲ノ平を辿って行く。
美瑛岳が覗く コガネギク 旭岳を見ながら シラタマノキ
 硫黄沢川へと下って行くと、硫黄沢川の滑床が綺麗に見えた。十勝岳の分岐を過ぎて、岩の上で一休みする。前回来た時には、雨との競争で下ったことを話し合う。今回は、一休みしながら、のんびりと下って行く。
硫黄沢川へ 硫黄沢川 十勝岳の分岐を 登山口が

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 二人の山行記録
 2010(H22)年9月8日(水)
 曇り 往復13.622km 登り3:54 下り3:35
 望岳台7:42→8:14白銀荘分岐→8:53十勝岳分岐→9:31函→9:44ポンピナイ沢→10:30美瑛富士分岐→11:36頂上11:3812:32美瑛富士分岐12:57→13:36ポンピナイ沢→13:54函→14:43十勝分岐→15:38登山口
 1999(H11)年8月12日(木) 晴れ後曇り 登り3:58 下り2:52
 望岳台8:12→8:42白銀荘分岐→9:08十勝岳分岐→10:11函→10:21ポンピナイ沢→10:58美瑛富士分岐→12:10頂上13:06→13:46美瑛富士分岐→14:23ポンピナイ沢→14:37函→15:26十勝分岐→15:58登山口