97 カニとカレイの遊び

カニカン岳に登ったときのことです。頂上からの景色も素晴らしかったことはいうまでもありませんが、近くの山並みが何か爪で引っかいたようなひだがありました。
また、古い標識は時の流れで、木の幹に食べられているように食い込んでいます。帰りがけ頂上を振り返ると、なにやらカニに見えました。

波が去っては置いて行く
砂浜に光るものを見つけた
カニとカレイの子供

面白がって砂を掘る
カニはハサミで掘っては
腹の下に入れる

カレイは口で掘っては吐き出す
少しづつ 砂山は大きくなって
直線だった砂浜は丸みをおびる

砂金を食べると 不思議に
どんどん 体が大きくなる
どんどん どんどん大きくなる体

カニは何時の間にか 
小さかった木の幹に
足を噛まれ 大木の中
どうにも 体が動かない

カレイは魚鱗が乾いて
どうにも 体が動かない

知らず 知らず カニは山に
カレイも 知らずに 山になる

青い空
川のせせらぎ
黄金の臭い
遠い昔を妄想の時が流れつつ
二人で登り下るカニカンの登山道


2001年11月10日 カニカン岳にて
写万部はカレイ、カニカンはカニしか連想できませんでした。発想が貧困ですみません。けれども、カニが引っ掻いたあとは今でも山にくっきりと残っていますよ。山頂を良く見ると左右に目のあるカニに見えませんか。


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