98 エゾリス

伊達紋別岳に登ったときのことです。相棒が可愛いエゾリスを木の幹に見つけました。私は全く見ていても見えなかったのですが、相棒は目が2.0以上なので難なく見つけたようです。

グレーの柔らかい毛を
寒風になびかせ
長い耳の毛を揺らす
ぬいぐるみの様なエゾリス
それは木の化身

木の化身は
己の落とした木の実を
拾い集めて遊ぶ
それは当たり前の仕草

すこしも寒がりはせず
無垢な目をして
寒風をやり過す
それは時間が止まる仕草

エゾリスにとっては
秋も冬もエゾリスの時
寒さをエゾリスが食む
それは温かい仕草

木々の葉が落ちても
花々がちっても
悲しみはせず
ただ もくもくと何かを食む
だれも見ていなくても
ただ いや 当たり前に
ふさふさの長い尻尾を振り
自分の時を刻む 


2001年11月18日 紋別岳にて


山の詩もくじへ  次青空ヘ  北の山遊詩へ