88 真珠の首飾り

 シャマンペヌプリに登ったときのことです。噴火湾が物凄く綺麗でした。曲線の綺麗な湾の浜辺に打ち寄せる白波がまるで真珠のようで、その彎曲から首飾りを連想してしまいました。夏の入道雲のような白い雲も綺麗でした。

何処かの女(ひと)が
海に落とした
真珠の首飾り
青い海に沈んだ
真珠の首飾り
糸が切れてバラバラになって
海に落ちた真珠の小玉

海の神 ネプチューンが
真珠の小玉を拾集め
不器用な指先で
一つ一つ糸を通し
白波に頼んで
砂浜に持ち上げさせた首飾り

海の神 ネプチューンが
海の中の雲に隠れて 見てる
何処の女が落としたのか
誰か探しにくるのか
落とした女の喜ぶ顔が見たいのか
わくわくしながら 今か 今かと待っている

日暮れになると
糸が切れて また海に戻ってしまう
真珠の首飾り
早く拾いに来ないかと
ヤキモキしながら待っている


2001年9月2日 写万部山にて


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