76 風の絵文字


北大雪の天狗山に登ったときのことです。凄い風が吹いていました。
ハイマツの葉はおろか幹までも風に翻弄されていました。まるで、獣の毛のようでした。良く見ると、なにやら風が絵文字を描いているようでした。
 
ユッケレラが轟々と音をたて
やってくる
小天狗岳にある
反射板の板を容赦なく叩く
カワンガワンと叩く

ハイマツのキャンバスに
風が画く
大きな絵文字を
ウッネリコイ ユッケコイ
シララアン シララエペス
なにを 伝えたいのだろうか

ユッケレラが正体を現すとき
絵文字を画く
大地に 深々と画く
物凄い 速さで 回転で
シポイレラが通り過ぎる

シポイレラが丸い大きな目を画くとき
ハイマツはまるで獣の毛のようになびく
山がキムンカムイのように毛をまとう時
雄叫びが聞こえる
ヌプリがカムイとなるとき
人は畏怖を抱く


2001年6月24日 北大雪の天狗岳にて


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