225 森の磁針
海岸林は意外と、深く方向を定めるのが難しい。不用意に入ってしまうと迷子になりかねないが、方向を決める2つの方法がある。一つは、海岸に平行に発達している砂丘の小山、もう一つは木立の影だ。
真昼の時 太陽は南から輝き
木立の影を北に向ける
その時は 北に向かって進む時
温かな日光を背中に受けながら

海岸林の中には 海岸線と平行に
砂丘の小山が畝っている
海に向かうには 直角に乗り越える

日が陰る時 それは立ち止まる時
木立の影が消えてしまうので
足跡を振り返り 北を目指す

森を抜けると オタネ浜の
向こうに 小樽が見える

波打つ冬の海が 泡を立てながら
オタルはここだと 吼えている


2015年2月17日 オタネ浜にて





 =太陽と方位=
 アナログ時計の短針を太陽に向けると、短針と12時の間が南になる。12時には短針と重なり、木立の影が北を向く。

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