212 白雪の顔
熊岳に登ったときのことです。林の中から視線を感じたので、良く見ると雪の造形でした。何かを語っているようです。

白い雪原から 林の中へ
白ウサギの足跡に導かれ
辿って行くと
視線を感じて 立ち止る

それは 林の中の
木の幹からのようだった
やがて 白い雪の顔が現れ
流し目で 見ているよう

白い鳥のような雪の精も
木の幹に 宿っていて
アカゲラの伴奏に合わせて
何かを 歌っていそうな口だった

二人ぽっちの人間だけかと
思っていたら
寒い雪原の林の中に
迎えてくれる 温かさがあった


2011年1月24日 熊岳にて



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