197 氷のブーツ
 乙女の滝に行ったときのことです。真っ白な滝があり、その傍に、氷のブーツが干してありました。

綺麗なベールで
真っ白く包まれた
乙女の滝は
囁いている

春の囁きとは違い
木の葉も囁かず
虫の相槌も無く
春の妖精の気配も無い

滝の上に上がると
滑って下りたい気分になる
それが出来るのは
水の妖精くらいだろう

水の妖精の真似をして
滝壷に落ちた冬の妖精は
濡れてしまったブーツを
木にぶら下げ
乾かすのだろう
春になるまで


2008年12月21日 乙女の滝にて

山の詩もくじへ  次大木の喉チンコへ   北の山遊詩へ