198 大木の喉チンコ
 阿部山に登ったときのことです。樹木にキツツキが開けた穴がありました。中を覗くと、喉チンコが下がっていました。

啄木鳥が叩く音は
山々に木霊し
自らの在り処を
知らしめているかのようだ

それでいて 姿は見せず
大木に穴をあける
心地良い音を出して
木霊だけが飛び交う

お陰で 大木には
目が出来 口が出来る
小さな目 大きな口
形は 啄木鳥の気まぐれ

何時しか 大木は
物を見 語るようになる
口蓋垂を震わせて
風の音の真似をする

冬にはマタレラを
夏にはサツレラを
秋にはチュッレラを
春にはパイカラレラを
吹くのだろうか


2009年1月17日 阿部山にて
マタレラ
サツレラ
チュッレラ
パイカラレラ
冬風
夏風
秋風
春風

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