170 ブナの白い肌

小鉾岳に登ったときのことです。ブナの木はすっかり葉を落としてしまっていました。葉の付いているブナの木は見慣れていましたが、ブナの木肌がこんなに白いとは思ってもみませんでした。

木枯らしが吹いて
せっかく紅葉した
黄色い葉も落とされた
丸裸のブナ林

丸裸になったブナ林は
小枝の先まで真っ白な
白い木肌を惜しげもなく
見せつける

風に揺れると
辺りを 白く塗りつぶし
細い小枝がぼけて行く

ブナの林にいるものを
白い世界に塗りつぶす
揺ら揺ら揺れては
塗りつぶす

白く 白く 塗りつぶし
白い世界へ誘い込む


2003年11月9日 小鉾岳にて

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