150 白い流れ矢

冬の山は晴れているときは本当に綺麗が、夏よりも厳しい面をわれわれに向け、楽しむというよりは、自然との戦いの場になる時もある。    

寒い冬になると 山は
お洒落に 白いマントを纏いだす
せっかく 白いマントを纏ったのに
それでも 寒がって
マントの下で震えている
すると 白いマントから
白い毛が 吹き上がる

それは細く 長い雪となり
地上を走る
細く長い雪は 矢のように
木々に突き刺さる
木々は悲鳴を上げ
小枝を ピューピューと唸らせる

その白い冷たい流れ矢は
時には わが頬に突き刺さり
表情を奪い 思考を取り去り
沈黙を強いる

太陽は 歪になった顔を出す
小枝に引っかかりながら
顔を出し 山を暖めると
山の震えが少し 止まる

すると 枝に雪が溜まりだし
白い 白い林となる
暖かそうな フワフワの
白い林が 浮き上がる
暖かそうに 山々を覆う


2002年12月21日 中山峠の山々にて

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