148 光の浮島


室蘭岳に登ったときのことです。山も海も、もう、冬の装いでした。海も鉛色に光っていました。その海上に雲から漏れた日の光が浮いているようにみえたのです。    

雲が渡り飛ぶ青空に
陽の光は落ち着きなく
地上を行き交う

もう 冬支度の山肌を
陽の光が射すと
白いキャンバスの山肌に
紅葉の名残りが顔をだす
赤く 黄色く 照り映える

海は鉛色に 重く光る鏡のようだ
陽の光は銀色の鏡で 鈍く反射され
陽の光は海の上に浮かぶ
それは光の浮島のようだ

光の浮島は 海の中にも
空中にもはみ出している
光の浮島は 天空の性なのか
やがて 天空に吸い取られる


2002年11月4日 室蘭岳にて


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