129 白竜の湖    

羊蹄山に登ったときのことです。旧噴火口(父釜)の中には残雪があり、白い竜のようでした。火口の底には雪融け水が溜まっていました。この水が年を重ねて伏流水として、蘇ることになるのですね。

荒々しい火口壁の残雪が
雪の玉となり転がり落ちるとき
雪の中から白竜の顔が現れる
白竜はまだ目を瞑り
瞑想し続けている

白竜の鼻が濡れるとき
白竜は目を開く
目覚めた白竜は
大きな口を裂き
近づくものを飲み込む

竜の口の中にある幻の湖は
はかない 一瞬を楽しむ
青く 白く 色を変え
天空や地上の色を楽しむ

そして 白竜と伴に
地中に潜み
百年の年月をかけて
また 地上に蘇る
怒涛のごとく
白竜を伴って迸る


2002年6月1日  羊蹄山にて
瞑想している 目を開けた 口を開けた
 HYMLの林さんは、地下が凍っていないと、漏水して水が溜まらない。雪が融けるころには、時期を少しずらして、地下の凍結も緩み、水が漏水する。丁度良い時期に幻の湖を見ましたねとメールをくれました。


山の詩もくじへ  次ワタスゲの小道ヘ   北の山遊詩へ