128 蜘蛛の巣に咲く花

雄鉾岳とその傍の満願展望台に登ったときのことです。蜘蛛の巣は山仲間でも結構嫌われものです。その嫌われ者も見方によっては綺麗なものです。

花弁は一時の華やかさを
一吹きの風で終わる
悲しい運命もある
花弁は また 美しい色を
雨で流されるときもある

雨も雨としての命は短い
木の葉に当たり
木の葉の滴として
地上に降りたら
もう雨とは言わない

蜘蛛の巣は
そのはかない命を
受け入れる
木々から見捨てられた
花弁を 雨の滴を
蜘蛛の巣は受け止める

花弁はまた巣の上で
命ある限り花となる
雨の滴は キラキラと輝き
花が咲くのを助ける

蜘蛛の巣は 体を張って
花や滴を受け入れるが
花が枯れるとき命が尽き
枯れ葉の中に消える


2002年5月25日 雄鉾岳と満願展望台にて


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