124 雪の足跡穴    

長万部岳行ったときのことです。5合目から上はまだ雪がありました。残雪の縁はもう雪が腐っていました。登ったときの足跡は、下って帰ってきた時に、底の雪がすっぽりありませんでした。その下には水が流れていました。

雪は春になると
歩いてどこかへ行ってしまう
足跡を残して行ってしまう
雪が歩いた後は
雪の足跡に穴が開く
ぽっかり 開いた雪の穴

足跡 足跡 みんなの足跡に
穴が開く 穴が開いたら
足跡穴の下は清流だ
音を出して流れてる
春が 春が流れてる

カムイは大慌てで走ってる
長い冬眠から覚めやらず
ふらふらしながら走ってる
太陽をまぶしそうに見つめながら

雪は 熊や鹿 人までの足跡を
真似して歩いて行く
春と言う名の暖かさを
配って置いて行く


2002年5月5日 長万部岳にて


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