19 飛行機雲


 七ツ岳に登ったときのことです。小春日和の中、余りにも気持ちが良いので仰向けになり青空を見ていました。すると、一筋の飛行機雲が通過して行きます。まるで、人生のようでもありました。

青空を一直線に上昇し
飛行機雲を残して飛んでいる

一直線だった雲が
次第に 乱れ 離れ
消えて行く

それでも まだ
一直線に飛行して
飛行機雲を残して
飛んでいる

やがて 地平線の
厚い雲に隠れるまで
一生懸命飛んでいる

青空には 一直線に伸びた
過去が置き去りになる
それも やがて
思い思いの形で
青空に溶け込んで消えて行く

何も無かったかのように
青空だけが広がっていた

目を瞑ると 確かに
飛行機雲はあるのだが


2003年10月11日 七ツ岳にて


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