11 涙


鹿児島では知覧町の特攻隊の手記を見て、長崎では原爆資館を訪れて、二人で悲しくて涙を流してきました。
長崎では札幌なら藻岩山的存在の稲佐山に遊んでもらいました。
 
必ず死ぬ運命が待ち受ける特攻隊
特攻隊員の明日を夢見ているような目は
落ち着いた笑顔はどこから来るのだろうか
若者に死を悟らせる戦争は寂し過ぎる
おかあさんは なお悲しい

戦争は人を殺人鬼にしてしまう
何十万という人々を瞬時に焼き殺す
原爆を投下した人も人間だ
幼子に死を強いた戦争は悲し過ぎる
おかあさんは なお悲しい

稲佐山は そんな光景を肌を焼いて
体験したのだろうか
人々の発した断末魔の
呻き声を聞いたのだろうか
おかあさんを亡くした子供は悲し過ぎたろう
山も悲しかったに違いない

今の稲佐山は 桜が咲き
街の喧騒が聞こえ 町並みを一望できる
人々が行き交い集う山だった
悲しみを癒すかのように静かにそこにあった


2001年4月13日 稲佐山にて


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