12 トンネル


三峰山の登山口まで行くには、不動尻トンネルをぬけなければなりませんでした。このトンネルには照明がなく中に入ると真っ暗でした。明るいのは入り口と出口だけで、中に入ると急に不安が沸いてきました。


初めに希望があった
今 来た道と同じで
明るく希望に満ちていた
全てが可能性に満ちていた
トンネルに入る前までは

次に 失望があった
どんどん どんどん 暗くなる
全てが不安に満ちてきた
トンネルに入ってしまったら

最後に絶望が有っても
不思議ではないだろう
出口は本当に出口なのだろうか
出口は鏡に映った入り口の
虚像ではないだろうか
本当に出口があるのだろうか
道はもうすぐ終わるのではないだろうか

絶望があったら
この壁は登る必要はないだろう
下れば良いだろう
登山は登る時も下る時も
充実感がある
人生はどうだろうか
それはあまりにも
不可逆的な部分が多すぎる


2001年4月22日 三峰山にて


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