99 青空

横山中岳に登ったときのことです。青空が綺麗でした。水平線の境目は霞んで判然としません。日高山脈は、この頃の陽気ですっかり白さが減っていましたが、綺麗でした。そんな青空を寝転んで見たくなりました。

初冬の海は鉛色で
青さを忘れてしまったようだ
青空は悲しんで
鉛色の海と接することを望まず
水平線に霞みを漂わす

山々の白い尖った頂が
青空に刺さっていても
青空は痛がりもせず
雪の白さを さらに白くする

寝転んで見上げる青空
木々の梢が青空に揺れるとき
青空は木々の梢を自らに彫る
木々の梢は動きを止める
まるで絵のように

こんな青空に
何時か 何処かで感じた
懐かしさを感じながら見ていると
急に 吸い込まれそうになり
思わず まぶたを閉じるが
まぶたも何時の間にか青空に


2001年11月26日 横山中岳にて


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