69 空き缶


銭函天狗山を金山から登ったときのことです。道路際に捨てられた空き缶や空き瓶の多さに驚きます。あれではやはり熊が来ない方が不思議です。
今日、娘の書きかけの漫画がありましたが、そのストリーがその状況にピッタリだったので、無断で載せました。
みなさん、ゴミは持ち帰りましょうね、自分達のため、熊のために。    

ぼくは2001年生まれの空き缶です
ある日 道路に捨てられたんだ
誰か気づいてくれないかな
1週間が過ぎて
ぼくは風に吹かれて転がったんだ
そして 車にひかれてペッチャンコになった

そのまま 誰も気づかず何年も過ぎた
春が来て 夏が来て 秋が来て 冬が来て
とうとう 百年過ぎた
でもぼくはいたんだ
ぼくがここにいると
草や虫が住み難くなるんだ
ぼくは嫌われ者になった
早く 誰か気づかないかな

そして また 百年が過ぎた
人間はゴミの出ない生活送るようになった
でも 2001年生まれのぼくは
まだ ここにいた
いったい 何時になったら
地球の一部になれるかな

ぼくは友達のことを思った
リサイクル工場へ行った友達は
缶や他のものに生まれ変わっている
うらやましかった

そして また千年が過ぎた
ずっと一人ぽっちだった
でも まだ ぼくはそこにいた
ぼくはお月様に祈った
次に生まれ変わったら
幸せな缶になれますように

そして捨てられてから二千年が過ぎたとき
やっと地球に一部になれた
地球の土になったんだ
長い 長い 時を経て
やっと ぼくは自然のみんなと
友達になれたんだ


2001年5月6日 銭函天狗山にて


山の詩もくじへ  次春の一幕ヘ  北の山遊詩へ