63 風と樹の会話


屏風岳へ山へスキーで行ったときのことです。当日は風が強かたのですが、その割には暖かだったです。

風が吼えるゴウゴウと
樹はそれをなだめる
ヒューショロショロと
すると春の暖かさが
樹の回りを回る

樹は温まり 回りの雪を融かす
そして 春を芽生えさせる
樹の芽はそれを見ても感じても
決して動かず
春にはまだ遠いことを知っている

沢は雪に埋め尽くされ
尾根は風雪にさらされている
イソカムイも穴から出てこない
春未だ遠い日々
北国の隅っこの春

君はそれでも感じたか見たか
そのはかない春を
風に翻弄される自分を
それでも 人生は人生だ
安住の地は無い 


2001年3月20日 屏風岳下岩峰にて
 
山の詩もくじへ  次ラッコヘ  北の山遊詩へ