5 花の運屋さん


佐幌岳で実に心和む場所を見つけました。それは桜山から頂上へ向かうコブと頂上の間にありました。
ダケカンバの幼木と背の低い笹がなんともいえず。調和がとれていて、その場所にいると、なにかほのぼのとするんです。

妖精は風に乗って来ては
花を山に置いて行く
花を運び終わると
この憩いの場所に集まり
ファノーキューと声を出す

白い花の受け持ちには白い帽子
赤い花の受け持ちには赤いスカーフ
といった風にそれぞれ個性的で
みんな可愛い とても可愛い
ファノーキューと語っている

風が吹けば何処かへ去り
風が無くなればまた集う
ダケカンバの白い幹に手をかけ
回りながら 戯れる
ファノーキューと歌っている

それは何処かで聞いた響き
幼いころに 聞いた響き
それは ほおずきの音のようだ
母が鳴らしてくれた音
懐かしい響き かあさん


2000年6月18日  佐幌岳にて

山の詩もくじ  次田園風景へ 北の山遊詩へ