49 金色の吹雪


張碓の石倉山に登ったときのことです。落葉松の落ち葉の吹雪でした。その様はまるで金色の吹雪模様とでも言うのでしょうか。なんの取り得もない山ですが、思わぬところに感動しました。雨に降られた甲斐がありました。

落葉松の林が山頂まで覆う石倉山
晩秋というより初冬なのだろうか
晴れたかと思うと雨が降る
その山道を登っていると
乾いたような音を立て
にわかに金色の吹雪となる

きらきらと太陽の光に染まり 遊びながら
地上に降り積もる金色の小さな葉
頭上にも舞い 帽子をかすめ 肩に積もる
最後の飛行を楽しんでいるかのようだ
鹿が金色の道を駆けたが
滑った金色の足跡が遊んでいる

金色の吹雪は白銀の吹雪の前兆か
まだ秋雨が その金色の吹雪の乱舞いを許さず
風とともに 金色の乱舞いを阻止する
まだ 冬には早いと言いた気に
金色の小さな葉は
雨の重さに耐え切れず
地表へと墜落して行く
次から次へと 音を失って

しかし 風雨はそんなに長くは続かず
また 何事もなかったかの如く降り続く
金色の枯れ葉 落葉松の金色が
あたかも 白銀の吹雪を誘うかのように
凱旋する冬将軍を向かえる道に敷くのか
金色の絨毯として 


2000年11月5日 石倉山にて

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