223 オタの波跡
オタナイの沼を訪れた時のことです。海岸林の中は、海岸に平行して緩やかな起伏が幾つもありました。柏の林の中は、まるで海のように、波が寄せては返しているように感じました。

オタの浜辺には
寄せては返す波がある

白い化粧をして
やさしく波音を残す波がある

やさしい波も 時には
怒涛の劈きに変わり
砂を流浪のものとして
海辺から遠ざける

過ぎ去りし景色は
オタの浜辺に刻まれる

波の形は 砂の小山に残り
緩やかにうねる砂の波となる

柏の林の中に眠る波跡は
今は さざ波の音が消え
柏の枯葉が 波音に変わり
カサカサと音を出す


2014年1月20日 オタナイの沼にて





 オタナイは、アイヌ語で「オタ:砂の、ナイ:川」の意、オタナイの沼は、かっての小樽内川の河跡湖だ。小樽内川は「オタ:砂の、オル:中の、ナイ:川」または「オタ:砂の、ル:道の、ナイ:川」の意で、小樽の語源となった地名となる。沼の辺には、オタナイ発祥の地碑(樽川村)が建っている。

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