216 カラマツの便り
西高山に登った時のことです。初雪の上にカラマツの葉が落ちていました。それは、文字のようにも見えました。アカゲラは、一生懸命に木を叩いていました。

真っ白な銀世界に
大地が覆われる前
カラマツは初雪の上に
文字を残す

人に悟られないように
風に頼んで葉を落とし
針のような細い葉を
重ねて文字を書く

それは 人には読めない
カラマツの呪文か
自然の便りか
カムイの伝言か

人は カラマツの文字を
もう 読めなくなってしまった
それでも カムイは
何かを伝えている

アカゲラは 木を叩き
モールス信号のように
誰かに伝えているのか

冬だ冬だと言うのなら
凡人にでも分かるのだが


2011年11月18日 西高山にて




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