200 樹氷の文字

奥手稲山に登ったときのことです。青空の下で真っ白な樹氷が梢にあり、日が当たると、サラサラと音を立てて降り注いできます。新雪の上には文字がくっきりと書かれていました。熊さんは私が読めない文字を読む。

青空の下 真っ白な樹氷に
春の陽が射す時
サラサラと音を立てて
新雪の大地に降り注ぐ

それは 冬の日から別れ
春風の音に 紛れ込ませ
長い眠りから熊を
目覚めさせる音

樹氷は思い思いに
サラサラとペンの音を立て
雪の大地に文字を書く
最後の冬の物語を

熊は 過ぎた冬の物語を
目を擦りながら 読みに来る
冬の寒さを思い出し
大きなあくびで 春を飲む


2009年4月24日 奥手稲山にて



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