158 雪の軌跡

銀山に登ったときのことです。獣の足跡、スキーの跡、カンジキの跡がコンモリと雪が盛り上がっているのです。踏み固められた跡が風に吹かれずにいたのです。梢にも丸い顔のような雪の塊がくっ付いていました。    

獣が歩いた足跡は
雪の中で生きている
雪から足を出す日を
待っている

風が吹いて
雪が吹き飛ばされると
ノコノコ 出てきて
また 歩き出す

スキーの跡も
カンジキの跡も
雪の中で生きている
雪から出る日を
待っている

風に吹かれた顔たちが
雪の梢に顔を出す
みんなニコニコ笑ってる
こちらを向いて笑ってる


2003年3月9日銀山にて

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