138 カムイの歯
武利岳に登ったときのことです。岩尾根の尾根通しで、景色も良かったですが、岩尾根はまるでアンギラスの背中か、歯のようでした。
花咲く岩尾根なのに
それは風を噛み切る
下あごの歯だ
カムイが怒ると
雲に隠れた
上あごの歯が
天空から現れる
大きな歯が下りてきて
岩の歯と雲の歯が
ぶつかり合い
火花が飛び
いかずちになる
カムイの息で
強風が起る
白い霧を伴って
全てを消し去る
2002年8月3日 武利岳にて
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