107 港の見える峰

毛無山へ登ったときのことです。この日は放射冷却が起きるくらい良い天気だったので、寒さも厳しかった。小樽湾の沖を見るとケアラシで真っ白だった。頂上からは小樽市街や港が見下ろせる尾根があり、そこに座って見ていると、船や港湾施設の音が聞こえてきた。私は小樽生まれなので、郷愁が打ち寄せてきました。

真っ青に晴れ上がった空の下
真っ白な雪の道を登って行くと
そのまま 青空に続き
吸い込まれそうになる
青と白だけの雪道

小樽湾が望める尾根まで来ると
真っ青な海の真ん中がケアラシで
まるで 海の吐息のように
白く霞んで見えていた

頂上には港の見える峰がある
赤防 白防 防波堤
港の中で行き交う船と船
合図の汽笛を鳴らし合う
港湾施設の港の音
まるで港の上にいるようだ

目で港や市街を撫で回す
何処か昔と変わった景色なのに
何故か 昔の景色を見る
遠い昔の街を見る
遠い友の顔を見る
とおさん かあさん
遠い昔の夢を見る

木々は思い思いに雪化粧
厚化粧をした樹 薄化粧の樹
白ウサギが回って裾に模様を描く
雪の白と青空の青のみで
今を彩る 昔から変わらずに


2002年1月20日 毛無山にて


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