82 ナキウサギ 石垣山に登ったときのことです。石垣山には沢山のナキウサギが生息していて、小さな声で鳴いていました。しかし、遂に、姿を見ることはできませんでした。 |
荒涼とした瓦礫の大地を登るとき 北国の風が奏でると 歌が生まれる 瓦礫のエッジで自らの体を切り裂き ピュー ヒューと 風が曲を奏でる すると ナキウサギが チッ チッ チッと小さな声で 風の伴奏で歌いだし 北国らしい風の歌に仕上げる 岩陰でも 草の中でも ナキウサギは歌っている 風が奏でるときに ナキウサギが歌うと 風の曲は トーンを変える ピュチッー ヒュチッー チッー ナキウサギと風の重唱 けれど ナキウサギの姿はなく 小さな植物を揺らし 存在を知らせるのみ 霧もナキウサギを包み込み 杳として姿を現さず それでも歌う チッ チッ チッと 風が止むと寂しそうに歌いだす チッチキチッ チキチキチッ すると また 風が北国の曲を奏でだす 北国の風景を賛歌する 北国の歌のハーモニー いつまでも いつまでも 2001年8月5日 石垣山にて |
ナキウサギが生息しているすぐ傍に避難小屋があり、その周りは人糞だらけです。なんとかならないものでしょうか?ナキウサギも憤慨しているのではないでしょうか! 山の詩もくじへ 次エゾオコジョヘ 北の山遊詩へ |