62 雪のバウムクーヘン


和宇尻山へスキーで行ったときのことです。頂上近くなると急になり、あっちこっちで、雪が転がり落ちていました。我々の通った所も、雪が転げ落ちて、まるでバウムクーヘンのような雪だるまでした。

大きな大きな山の樹は
春の準備に忙しい
根元に敷いていた白雪の
冷たい絨毯を剥がしていた
ぐるぐる ぐるぐる 巻いていた

大きな大きな山の樹は
剥がすだけでは物足りず
山の上から落としていた
せっせせっせと落としていた
ゴロゴロゴロゴロ落ちていた

大きな大きな山の樹は
落とすついでに遊んでいた
大きく大きく 遠くに遠くに
行くように みんなで競って
遊んでいた

大きな大きな山の樹は
時間を忘れて 遊んだので
急に お腹が空いて来た
大きな大きな雪だるま
バウムクーヘンに見えてきた
大きな口でパクリと食べたら
まだまだ冬の味のよう


2001年3月18日 和宇尻山にて

山の詩もくじへ  次風と樹の会話ヘ  北の山遊詩へ